
次世代の注文住宅とは?
2025年データから読み解く家づくりの新基準
「建築費が高騰する今、納得できる家づくりは本当に可能なの?」そんな不安を抱えていませんか。
今回のブログでは、最新の「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」を基に、高騰時代を生き抜く住宅市場の現在地を詳しく解説します。さらに、次世代を担うZ世代が重視する「タイパ・スペパ」といった新しい価値観についても深掘りしました。
読み進めることで、コスト高騰下で選ばれている住宅の共通点や、次世代に求められるデザイン・性能・考え方が見えてくるはずです。
これから家づくりを検討される方はもちろん、住宅提案に携わるプロの方にとっても、“これからの標準”を先読みできる一助となれば幸いです。
(1)最新データから読み解く、2025年注文住宅の現在地
リクルートのSUUMOリサーチセンターでは昨年、11月18日、「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」を発表しました。
建築費の高騰が続く中、注文住宅市場にはどのような地殻変動が起きているのでしょうか。
この「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」は、過去1年以内に建築した「建築者」1,342名と、今後2年以内に検討している「検討者」1,378名を対象とした大規模なものです。
最新データから見えてきた、住宅市場の「今」を解説します。
① 建築費用は全国平均3,488万円。過去10年で最高値を更新
今回の調査で最も鮮明になったのは、建築費用(土地代を除く)のさらなる上昇です。
・全国平均:3,488万円(前年比+73万円。過去最高を記録)
・建築費3,000万円以上の割合:調査開始以来、初めて6割を突破
特に首都圏では、建築費用(平均3,960万円)と土地代(平均3,969万円)がいずれも増加傾向にあり、住宅取得のハードルが一段と高まっている実態が浮き彫りになりました。
② 建築費高騰への対策:「住宅のコンパクト化」が進行
上昇し続ける建築費への現実的な防衛策として、住宅のサイズを絞り込む「コンパクト化」が顕著です。
・敷地面積:平均69.9坪(縮小傾向)
・延床面積:平均41.1坪(縮小傾向)
無駄なスペースを削ぎ落とし、面積を抑えることで総予算をコントロールしようとする建築者の意図が読み取れます。
③ 「セミオーダー住宅」が2割を超え、新たなスタンダードに
建て方にも変化が現れています。フルオーダーの自由設計ではなく、一定の規格から選択する「セミオーダー」の割合が20.7%に達しました。
コストを抑えつつ、注文住宅ならではの満足度を担保できる「賢い妥協点」として支持を広げています。
④ 4軒に1軒が「平屋」を選択。エリアと世代を超えたブーム
2025年調査で特筆すべきは、平屋建ての躍進です。
選択率は25.3%と年々増加しており、今や4軒に1軒以上が平屋を選んでいます。
・エリア別:九州・沖縄(50.8%)を筆頭に、甲信越・近畿・首都圏でも軒並み増加。
メリット:平屋の平均建築費は3,308万円で、2階建て以上より約240万円安く、延床面積もコンパクト(36.9坪)にまとまる傾向があります。
年代別:60代(38.5%)などシニア層の支持が厚い一方、若年層への浸透も進んでいます。
⑤ 「今が建て時」と考える検討者が約7割。背景に危機感も
建築費上昇の中でも、検討者の68.8%が「今が建て時」と回答しています。
- 価格上昇への懸念:「今後さらに建築費が上がる」という予測(34.6%)
- ライフステージ:結婚・出産などのタイミング(29.8%)
- 金利動向:「今後金利が上がる」という警戒感(28.3%)
特に20代・30代では「これ以上高くなる前に」という決断意識が強く、積極的な姿勢が見て取れます。
⑥ 普及が進む高性能住宅:ZEH導入率は47.1%
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の認知率は8割を超え、導入率は半数近い47.1%になっています。
特に30代(54.3%)や40代(48.6%)の現役世代で高く、2025年4月からの省エネ義務化や、将来的なZEH水準への引き上げを見据えた動きが加速しています。
⑦ 次なる指標「GX志向型住宅」への注目
ZEHを上回る省エネ性能を持つ「GX志向型住宅(脱炭素志向型住宅)」の認知率も49.6%に達しました。
「子育てグリーン住宅支援事業」による手厚い補助金(最大160万円)が強力な追い風となっており、高性能住宅への投資価値が再認識されています。
⑧ 家づくりで重視される「性能」と「自由度」
建築者が重視したポイントのトップ3は以下の通りです。
- 間取り・プランの良さ(48.0%)
- 断熱性・気密性などの性能(38.8%)
- 耐震・免震性(37.8%)
また、「設計自由度の高さ」へのニーズが上昇する一方で、「アフターサービス・保証」の重視度は低下傾向にあります。
「まずは確かな性能と、自分らしい暮らしを叶える設計」に予算を集中させる傾向が強まっています。
まとめ:高騰時代を「賢く、豊かに」生き抜くための住宅選び
2025年の調査結果が示すのは、過去最高水準の建築費に直面しながらも、「コンパクト化」「セミオーダー」「平屋」といった選択で賢くコストを制御し、前向きに家づくりを進めるユーザーの姿です。
もはや「安さ」だけを追うのではなく、「性能×省エネ×生活価値」のバランスを最適化することが、これからの注文住宅における意思決定の鍵となるでしょう。
(2)Z世代の注文住宅は“タイパ・スペパ”が合言葉
リクルート発表の「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」からは、建築費高騰という厳しい現実だけでなく、20代・30代の若者世代が示す「新しい住まいへの価値観」が鮮明に浮かび上がっています。
Z世代(1996~2005年生まれ)と呼ばれる彼らは、住宅に何を重視し、どのような暮らしを求めているのか。
ここでは、彼らが注文住宅に寄せる「新しい価値基準」について深掘りします。
① 20代の価値観:背伸びしない「等身大」と「土台」としての家
クロス・マーケティングの「住まいに関する調査(2025年)」によると、コスト上昇を背景に、20代は「背伸びして大きな家」よりも「無理をしない等身大の家」を重視する傾向が強まっています。
特筆すべきは、若い世代ほどGX(グリーントランスフォーメーション)志向が高い点です。
省エネ・再エネを組み合わせた高性能住宅への関心が強く、「長く安心して住める性能」への投資意識が明確になっています。
また、彼らにとって「家」は「人生のゴール」ではありません。
働き方、趣味、推し活、副業など、多様なライフスタイルを支える「土台」として捉えられています。
「一生に一度の買い物」という固定観念から、ライフステージに合わせて最適化できる「選択肢の一つ」へと、住宅観が変化しているのです。
② 間取り・デザインへの影響:「タイパ」と「映え」の融合
2025年のトレンドである「コンパクト化」「平屋」「セミオーダー」は、若者が求める“タイパ(タイムパフォーマンス)の良い暮らし”と非常に親和性が高いといえます。
多機能な空間:
広いLDKよりも、ワークスペース、趣味、オンライン通話の背景(映え)など、用途を横断できる空間が好まれます。
見せる収納:
単なる片付け場所ではなく、ガジェットや趣味の道具をディスプレイし、そのままSNSに投稿できるような「整った収納」へのニーズが高まっています。
デザイン性:
「ライト北欧」や「韓国インテリア風」など、ミニマルながらポイントで素材を効かせた、写真映えする設計が求められています。
③ 性能とコスパへの冷静な視点
「2025年 注文住宅動向・トレンド調査」において、建築者が重視する項目は「断熱・気密」「耐震」が上位を占めています。
20代は特に、高断熱・高効率設備を組み合わせた「光熱費の安さ」と「暮らしやすさ」の両立に敏感です。
彼らの特徴は、単なる「安さ」ではなく、初期費用と維持費のバランスを見極める「冷静なコスパ判断」にあります。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準をベースとしつつ、費用対効果(ROI)をシビアに評価する姿勢は、限られた面積で豊かに暮らす「スペパ(スペースパフォーマンス)」の追求にも繋がっています。
④ 2026年以降、注文住宅が向かう方向性
これからの注文住宅は、Z世代の価値観を反映し、以下の方向へ進化していくと考えられます。
「広さ」より「編集可能な余白」:
可動間仕切りや土間空間など、将来のライフステージに応じて用途を変えられる“伸びしろ”のある設計。
「体験価値」を支えるハブ:
キッチンは「配信の舞台」、リビングは「シアター」、庭は「アウトドアリビング」など、家を“体験を生み出す場所”として再定義する。
「高性能×デジタル」の標準化:
スマートロックや遠隔制御、エネルギー管理など、アプリで家をアップデートする体験が必須となります。
「セミオーダー+カスタム」の普及:
「ベースは合理的に、こだわりはフルカスタムで」という、効率的かつ個性的な選択がスタンダードになるでしょう。
まとめ:Z世代が創る、これからの住まい
2025年の調査で見えた「コンパクト化」「セミオーダー」「平屋」の流れは、若者世代の「効率」と「本質」を重んじる価値観と完全に一致しています。
これからの住まいに求められるのは、単なる箱ではなく、
「コンパクトでも高性能」「体験を支えるデザイン」「デジタルとの親和性」「アップデート可能な柔軟性」を備えた器です。
建築費高騰という逆風の中、無駄を削ぎ落とし、本当に大切なものを見極める彼らの姿勢。
それは、これからの住宅業界が進むべき、持続可能で自分らしい住まいのあり方を示しているのではないでしょうか。
参考:
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