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2023.12.25

アメリカの住宅事情大解剖!住宅価格、タイプ、そして特徴とは

アメリカの住宅事情大解剖!
住宅価格、タイプ、そして特徴とは

アメリカの住宅市場は住宅ローンの高金利が住宅購入の障壁となり、新築・中古など住宅の販売が低迷しています。
今回のブログでは、アメリカの住宅市場の現状や住宅価格の動向を探りつつ、一軒家からコンドミニアムまでの異なる住宅タイプについてや、一般的なアメリカの注文住宅の間取りの特徴に焦点を当て解説します。

(1)アメリカの住宅市場の現況

9月23日の日経新聞によると、アメリカの住宅市場は停滞気していると記しています。
アメリカ商務省の8月26日公表された内容によると「8月の新築戸建ての販売件数(季節調整済み、年率換算)は前月比8.7%減の67万5000戸だった。減少率は2022年9月(11.1%)以来の大きさ」などと記しており、アメリカでは主流となっている、中古物件の売買も8月の中古住宅販売件数は404万戸と前月から0.7%減りで3カ月連続のマイナスと低空飛行を続けています。
低迷の原因は住宅ローンの高金利の為、人々がローンの借り入れを躊躇しているためです。
現在、固定型住宅ローンは7.2%にまで上昇しています。
アメリカ消費者は重いローン金利の高騰や住宅販売価格の高騰など、住宅購入のハードルは上がっています。

上図表は、「米住宅市場停滞、新築販売8.7%減 高金利で買い替え鈍く」より引用しました。

(2)アメリカの住宅価格

アメリカの住宅価格は上昇傾向にあり、住宅関連費は平均賃金の35%を超え、過去10年間で最高値になったという記事もあります。
これまで言われてたアメリカの住宅関連費の割合は、2022年では28%程度でした。

アメリカの平均収入7万1215ドル(約1,064万円)とすると、そのうち住宅所有費用が昨年の28%から、今年、2023年第三四半期では35%とすると、2万4925ドル(約370万円)にも上昇しているということになります。

アメリカの住宅価格は、非常に幅広く多様で、地域、住宅のサイズ、デザイン、使用される建材、設備などによって大きく異なり、何がスタンダードなのか、一般的な平均価格を示すことは難しいと言えます。

あえて、平均値を出すとすると、2022年時点で1平方フィートあたり約150ドル(約22,000円)~200ドル(約30,000円)程度となっています。
これを日本的に1平方メートル=約10平方メートルとすると、1平方メートル/220,000円~1平方メートル/300,000円といったところでしょうか。
アメリカの家の平均的広さ(床面積)を200㎡とすると、約4840万円(約32万ドル)~6000万円(約40万ドル)といったところが一般的な住宅価格と言えるのではないでしょうか。

(3)アメリカの住宅の種類

アメリカの住宅の種類はHouse、TownHouse、Apartment、Condominiumなどがあります。
それぞれ見ていきましょう。

一軒家

アメリカの一軒家はSingle/Multi-family Houseなどと呼ばれます。
アメリカは広大な土地があるので、家のサイズは大きいものから小さいものまで様々あります。敷地内には庭があるのが一般的です。

タウンハウス

タウンハウスは、物件が隣り合わせになっている集合住宅です。
2、3階建だったり、地下があったりと様々ですが、どこかの壁が隣の家の壁と合わさっています。
日本で言う長屋といった感じでしょうか。
タウンハウスは、地域によって価格が異なりますが、一般的には一戸建てよりも手頃な価格帯にあります。

アパートメント

アパートメントは、日本で言うとマンションにあたります。
アパートメントというのはキッチンを備えたリビングルーム+ベッドルームがいくつかあるタイプの部屋のことです。
また、日本で言ういわゆるアパート(比較的小さめの集合住宅)は、apartment complex(アパートメントコンプレックス)と呼ばれます。

コンドミニアム

コンドミニアムは分譲タイプのマンションで、通常のアパートメントより高級感があり、家具や什器類は備え付けでレセプション、プール、ジム、テニスコートなどがあるようなところが多くセキュリティも充実している住宅です。

(4)アメリカの注文住宅(一軒家)の間取りの特徴

アメリカの場合、間取り表記は日本で用いるLDK表記は使われておらず、ベッドルームとバスルームの数で表現します。
3bds 2baの表記の場合、ベッドルーム3部屋にバスルーム(お風呂+トイレ)2つという意味になります。
アメリカの間取りとしての特徴は、日本の家と比べてサイズが大きく、天井は高め、窓は多めで、玄関ドアは中央でシンメトリーになっている家が多いというところです。

アメリカの住宅間取り図

上記は「約30畳!?広すぎるアメリカのリビング・そのワケとは」より引用、作成した間取り図です。

以下にアメリカの間取りの特徴5つを整理しました。

特徴1:玄関がない

アメリカの家では玄関がリビングルームのすぐ近くに配置されることが一般的です。
アメリアの住宅には玄関がない。ドアを開けるといきなりリビング、または、キッチンがあります。
アメリカでは、靴を履いたまま生活するのが一般的で玄関がない、下駄箱もないのが特徴のひとつです。

特徴2:ガレージがある

車社会のアメリカでは、車が2台ほど収納できるインナーガーレジ付きの住宅がよく見られます。
ガレージは車の収納場所としてだけではなく、物置きとしても使用されていることも多いようです。

特徴3:ユニットバスが2つ以上ある

一軒家には複数のバスルームが備えられることが一般的です。
バスルームは大きいバスタブ、洗面器、トイレがユニットになっています。
家によっては、寝室の数だけバスルームもあって、家族それぞれが自分のバスルームがある場合もあります。

特徴4:庭がある家がほとんど

日本の住宅より豪華に見える要素に住宅に広い庭があること、さらに庭にはプールがあるなど、庭の存在が大きいと思います。
アメリカの住宅は一軒家は平屋か二階建てが多く、家の前には大なり小なり庭が広がり、芝が茂っています。アメリカ人はガーデニングが好きなんですね!

特徴5:LDKが桁違いに広い

家族との時間を大切にする文化があるアメリカでは、リビング、キッチン、ダイニングを一体化させ、LDKの間取りを広く、オープンに設計するというのが一般的です。
上の図面を見てもLDKは床面積の半分以上を占めています。

まとめ

アメリカの住宅市場は高金利の住宅ローンと価格上昇により厳しい状況にあるようです。
新築・中古住宅の販売が減少し、住宅所有費用も過去最高に上昇しています。
アメリカの住宅タイプには一軒家からコンドミニアムまで多様な選択肢があり、住宅間取りの特徴もアメリカの文化を反映したの独自性を持っています。
アメリカの住宅が多様性に富みながらも、高騰する住宅価格と変動する市場に直面している現況が浮かび上がりました。

参考: