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2026.01.09

【2026年は勝負年】新ZEH時代に向け住宅事業者がやるべき5つの準備

【2026年は勝負年】
新ZEH時代に向け住宅事業者がやるべき5つの準備

 

昨年2025年4月、原則全ての新築住宅・建築物に対して省エネ基準適合が義務化され、家づくりや設計の現場は大きな転換期を迎えました。
しかし、「義務化されたから一安心」ではありません。
「2026年」には、さらなる基準強化という“第二波”が迫り、続く2027年には住宅性能の常識が塗り替えられる「新ZEH基準」の開始が控えています。
「今の基準で建てて将来後悔しないか?」「住宅事業者は新基準にどう備えるべきか?」と考える方も多いでしょう。

本年、最初のブログでは、「2026年問題」の正体と、2027年の劇的な変化、そして2026年、すぐにでも取り組むべき準備内容を解説します。
この記事を読めば、激変するこの業界で「選ばれる家づくり」の正解が分かります。

(1)住宅業界における「2026年問題」とは何か

住宅業界で語られる「2026年問題」とは、2025年4月に施行された建築基準法・建築物省エネ法の改正が、2026年以降、より厳格かつ実務レベルで本格化することによって生じる業界全体への影響を指します。
2025年の法改正は、いわば「入口」の整備でした。
そして2026年は、その改正が実務・コスト・体制に本格的な負荷として表れる年となります。
特に今年2026年は、

・省エネ基準の深化・適用範囲の拡大
・不動産登記法改正への対応

が重なるタイミングであり、2025年改正の“第二波”として意識されているのが、この「2026年問題」です。
ここではまず、住宅業界において影響の大きい「省エネ基準のさらなる強化」について見ていきましょう。

①省エネ基準のさらなる強化:非住宅・延床300㎡以上/2026年4月~

2025年から、原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物においては、省エネ基準への適合が義務化されました。
これは、省エネ基準を満たさない建物は建築確認が下りず、建てられないことを意味します。
この省エネ基準とは、

・断熱等級4以上
・一次エネルギー消費量等級4以上

を満たすことが条件であり、2025年以降は建築確認申請時に「省エネ基準への適合性審査が必須」となっています。

②2026年4月からの大きな変化:非住宅「中規模建築物」への本格適用

そして、2026年4月からは、この省エネ基準が延床面積300㎡以上の非住宅建築物(中規模の事務所・店舗・福祉施設・学校など)にも本格的に適用されます。
注目すべきは基準の中身です。
一次エネルギー消費量基準(BEI)の上限が、

・現行:BEI=1.0
・改正後:BEI=0.75~0.85程度

へと引き下げられ、15~25%前後の性能強化が求められる見込みです。
これにより、

・高効率空調・照明・給湯設備
・BEMS(建物エネルギー管理システム)
・高断熱建材の採用

といった対策が、選択肢ではなく必須条件になっていきます。

③中小事業者に重くのしかかる「2026年問題」

この基準強化によって、中規模テナントビルや商業施設では、建設コストに占める省エネ対策費の割合が大きく増加すると懸念されています。
特に、

・設計・施工リソースが限られている
・設備更新のノウハウが十分でない

中小の建設・不動産事業者にとって、2026年問題は「コスト」と「対応力」の両面での課題となります。
住宅分野では2025年の全棟義務化が大きな転換点でしたが、2026年は「非住宅(中規模)」側の基準強化が本格化する年と言えるでしょう。

④「断熱等級4」は最低ラインに過ぎない

2026年以降、これらの基準で建てられる建築は、従来の等級2~3の建物と比べると、一律で等級4以上となります。
ただし、ここで注意したいのが、「断熱等級4」は決して高性能ではないという点です。
イメージとしては、

・昔の建物(等級2~3):シャツ1枚
・現行基準(等級4):厚手のセーター

程度の断熱性能に過ぎません。
本来の意味で、「一度暖めた、もしくは冷めた室内の熱を逃がさない」魔法瓶のような断熱性能が実感できるのは、「断熱等級5~7」の領域に入ってからです。
こうした流れを受け、実務レベルではすでに「等級6クラスを最低ラインで提案すべき」という空気が強まりつつあります。
これは住宅に限らず、今後は非住宅を含めた建築全体において、

・省エネ性能を高く設定すること
・それを前提に計画・提案すること

が“当たり前”になる時代に入ったと言えるでしょう。
「2026年問題」とは、単なる法改正の話ではなく、建物の価値基準そのものが変わる転換点と言えるのです。
そして、この流れの先にあるのが、2027年の「新ZEH/GX ZEH基準」の本格スタートです。
2026年は、この2027年の「新ZEH/GX ZEH基準」の準備と対応力が問われる、極めて重要な一年と言えると思います。
次項に、「2026年に行うべき2027年対策」についてまとめました。

(2)2026年は「2027年省エネ基準強化」に向けた準備の年

2026年は、翌2027年に予定されている省エネ基準の大幅な改定、いわゆる「新ZEH/GX ZEH導入」に向けた準備の年と位置づけられます。
2027年には、住宅の省エネ基準が「断熱等級5→等級6」へと大きく引き上げられる見通しです。これは単なる数値の変更ではありません。

これまでの住宅が「厚手のセーターを着て熱が逃げるのを防ぐ家」だったとすれば、これからの住宅は魔法瓶のように熱を逃がさない、本来の意味での高断熱住宅へと進化していくことを意味します。
そのため、住宅業界において2026年は、基準が切り替わる2027年を見据え、設計・施工・提案体制を整える極めて重要な年となるのです。

ここでは、2027年「新ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)基準」の概要について解説します。

■2030年目標へ向けた「段階的な基準引き上げ」

政府の長期エネルギー政策(第6次エネルギー基本計画)では、2030年度以降、すべての新築住宅をZEH水準へ引き上げるという方針が示されています。
その前段階として、2027年頃に「省エネ基準の改定」が行われる見込みで、
現在、次のようなポイントが議論・検討されています。
2027年度から認証が開始される新基準は、通称「GX ZEH」と呼ばれ、
主に以下の3点が大きな柱となります。

①断熱性能の引き上げ:「最低限」から「高性能」が前提の時代へ

現行の断熱等級5(ZEH水準)から、断熱等級6(HEAT20 G2相当)への移行が推奨、事実上の標準となります。
これに伴い、外皮平均熱貫流率(UA値)の基準が見直され、

・壁・屋根・床の断熱材性能の向上
・Low-E複層ガラスやトリプルガラスなど高性能サッシの採用
・断熱欠損(すき間・熱橋)を抑える設計・施工

といった点が、これまで以上に重要となります。

②一次エネルギー消費量削減率:設備性能が住宅価値を左右する時代へ

一次エネルギー消費量の削減率は、現行の20%削減から35%以上へと大幅に引き上げられる方向です。
これは、省エネ表示制度「BELS」において
BELS★1.0(基準相当)から、0.8前後が当たり前になることを意味します。
今後は、

・高効率エアコン
・ヒートポンプ給湯器(エコキュート等)
・LED照明の全面採用
・高効率換気システム

といった「設備の省エネ性能」そのものが、住宅評価を大きく左右する要素となります。

③創エネ(再生可能エネルギー):「使う家」から「生み出す家」へ

2027年の省エネ基準強化で、特に注目されているのが「創エネ(再生可能エネルギー)」の位置づけです。
これまで太陽光発電は、「設置すれば評価が上がる設備」でしたが、
今後は住宅のエネルギー戦略の中核として扱われるようになります。
重視されるのは、

・太陽光発電による自家消費
・蓄電池との組み合わせ
・電気を「買う」より「使い切る」設計思想

の3点です。
高断熱・高効率設備でエネルギー消費を抑え、そのうえで再生可能エネルギーを活用する。
この組み合わせによって、ZEH水準、さらにはそれ以上の住宅性能が現実的な選択肢となっていきます。

④住宅は「性能で選ばれる」時代へ

これからの住宅は、住宅は見た目や設備の豪華さだけで選ばれる時代ではなくなります。
省エネ・断熱といった「目に見えない性能」への投資が、住宅づくりの前提となるでしょう。

かつては、「キッチンをグレードアップしたい」、「リビングを広くしたい」といった部分に予算を配分できました。
しかし、今後はまず、断熱性能・省エネ性能に数百万円単位の予算を割くことが必須となる時代です。
2027年基準を正しく理解することは、これから家を建てる人にとっても、設計・施工に関わる人にとっても、避けて通れないテーマとなっていくことは間違いないでしょう。

(3)「2027年ZEH基準本格化」に向けて住宅事業者が取り組むべき5つの優先事項

2027年に予定されている「新ZEH/GX ZEH基準」の本格化は、住宅の「性能」をこれまで以上に重視する時代の到来を意味します。
断熱・省エネ・創エネは、もはや付加価値ではなく最低条件となる時代が来ます。
そのための準備は2027年から始めるのでは遅く、2026年の取り組みこそが、将来の競争力を左右する分岐点となります。
ここでは、住宅事業者が2026年中に取り組むべき「5つの優先事項」を整理します。

①断熱等級6対応の技術確立(設計・施工)

2027年を見据えると、従来の断熱等級4・5では不十分です。
断熱等級6(HEAT20 G2レベル)を標準とする設計・施工体制の構築が急務となります。

・樹脂サッシ(トリプルガラス等)の標準化
・付加断熱の検討
・気密性能(C値)を確保するディテール設計

また現場では、断熱欠損を防ぐ施工マニュアル整備や、職人への技術教育など「施工精度の底上げ」が不可欠です。

②省エネ計算体制の構築(BEI=0.65対応)

2027年基準では、一次エネルギー消費量の大幅削減が求められます。
目安としては、太陽光を除いた状態でBEI=0.65以下を安定して達成できる仕様の確立です。
そのためには、

・外皮性能+設備仕様の最適な組み合わせを把握する
・省エネ計算を外部任せにせず、社内で即時対応できる体制を整える

といった取り組みが必要になります。

③HEMS・蓄電池の標準仕様化

ZEHの本質は「エネルギーの自給自足」にあります。
その実現には、HEMS(エネルギー管理システム)の導入が欠かせません。
AI搭載型HEMSによるエネルギーの見える化と最適制御、さらに災害時のレジリエンス向上やFIT終了後を見据えた「蓄電池とのセット提案」を、標準仕様として検討する必要があります。

④顧客提案力の強化(メリット・補助金の説明)

性能向上に伴い、建築コストは少なくとも250~450万円程度、上昇すると言われています。この価格差をどう説明し、納得していただくかが重要です。

・補助金(GX ZEH補助金等)の最新情報提供
・生涯コスト(LCC)で見た場合の経済性
・環境貢献や将来の資産価値

を数値とストーリーでお客様へ説明できる提案資料の整備が求められます。

⑤社内体制の整備(教育・プロセス・審査対応)

新ZEH基準への対応は、一部の担当者だけで完結するものではありません。
営業・設計・工務・事務、すべての部門で理解度を底上げする必要があります。

・全社向け教育・情報共有
・省エネ適判や確認申請業務の効率化
・BIM活用や図面と計算書の連動

など、業務プロセス全体の見直しが不可欠です。

まとめ:2026年の準備が、2027年以降の「選ばれる会社」を決める

2027年の新基準は、単なる法改正や数値の引き上げではありません。
住宅の価値基準そのものが「広さ」や「設備」から「性能」へと移行する転換点です。
断熱等級6、BEI=0.65、HEMSと蓄電池、そしてそれらを「説明できる提案力」と「支える社内体制」。
これらは個別に対応するものではなく、すべてが連動する一つの仕組みと言えます。

2027年になってから「基準が変わったので対応します」という姿勢では、お客様の信頼は得られません。むしろ、2026年の早い段階で「それが当たり前」になっている会社こそが、これからの住宅市場で選ばれていくでしょう。

2026年は、単なる準備期間ではなく、未来の住宅づくりへの分岐点となる一年です。この2026年の一年間をどう使うかが、2027年以降の住宅事業の明暗を分けることになるのです。

 

参考: