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住宅設計海外の住宅間取り

2024.03.08

「ドイツの住宅探訪」豊かな生活を彩る伝統と革新性

「ドイツの住宅探訪」
豊かな生活を彩る伝統と革新性

 

2023年、ドイツのGDP(国内総生産)は米ドル換算で約4兆4500億ドルとなり、日本の約4兆1800億ドル(見込み)を抜き、世界第3位に躍り出ました。
これは、この3年間でドルに対する円安が進んだためであり、その影響で数字が大幅に減少しました。
しかし、ドイツはここ20年以上にわたり、経済成長を着実に達成し、優れた成果を収めてきました。

今回のブログでは、GDP世界3位となったドイツの最新住宅事情や住宅の外観、住宅性能、間取りの特徴を探っていきます。

(1)ドイツの住宅事情

2023年12月の日本経済新聞によると、ドイツでは戸建て価格が1年間で約10%急落し、主要都市のベルリンやフランクフルトなどでも市況が悪化しています。
戸建て価格は7~9月に前年同期比12%下がり、マンションなどの分譲物件も11%下落しました。
しかし、住宅価格の急落にもかかわらず、ドイツ国内の家賃は1年間で約5%上昇しています。
特に都市部では、家賃の高騰や物件不足が深刻な問題となっているようです。

ドイツの住宅市場の特徴として、持ち家の割合が43.7%に対し、賃貸住宅が53.6%を占めていることが挙げられます。
この現象は、賃貸住宅が契約期間の制約が少なく、家賃値上げが法律で制限されているため、安定した住環境を提供していることや、持ち家に拘束されない自由な生活を好む国民性に起因しているようです。

 

(2)ドイツの住宅の特徴:外観、性能、間取りなど

 

1.外観の特徴

ドイツの伝統的な住宅では、勾配の急な屋根が一般的です。このような屋根は通常、瓦やスレートで覆われ、雨や雪の排水を効果的に行い、建物を保護します。
また、外壁には、粘土や泥を主原料に高温で焼き上げたレンガがよく使用されます。
このレンガは耐久性や耐熱性、蓄熱性、デザイン性を兼ね備えた魅力的な外壁材となっています。
さらに、「窓の多さと大きさ」も特徴です。
日本では家の窓が小さくなる傾向がありますが、ドイツでは夏は複数の窓を開けて涼を取り、冬は窓からの日差しで暖かさを感じることができます。

2.ドイツの住宅は早くから省エネ住宅に対応

ドイツでは省エネに対応した住宅を推進するための法律があり、義務化されています。
この法律には、建築物の断熱性能、暖房システム、給湯システム、換気設備などに関する厳格な基準が含まれており、再生可能エネルギーの利用も促進されています。
ドイツの新築建物は環境に配慮した「パッシブハウス」と呼ばれ、日本の住宅と比べても非常に高性能な家と言えます。

3.間取りなど内部空間の特徴

ドイツ住宅の間取り

ドイツの住宅間取り図を見ると、機能や効率よりも快適さが重視されていることが分かります。
広いリビングやダイニング、そして大きな窓からは外の景色を楽しむことができ、風通しも良好です。

広いリビングスペース

ドイツの住宅では一般的にリビングスペースが広く取られています。リビングは家の中心であり、日当たりが良い部屋に採光用の大きな窓があり、家族や友人との集まりに最適なスペースとなっています。

広い独立型のキッチン

伝統的にドイツの住宅ではキッチンが独立しており、リビングスペースやダイニングエリアから区切られています。これは、調理の際に発生する匂いや音を他の部屋から遮断するためです。ただし、近年ではオープンプランのデザインも増えており、キッチンとダイニングエリアが統合されています。

家事室

多くのドイツの住宅には家事室があり、洗濯や掃除など、家事に関連する機能を集約た場所があります。
具体的には、洗濯機や乾燥機、洗濯物をたたむためのスペースであったり、掃除道具や洗剤、柔軟剤の収納スペースなどとなっています。

バルコニーやテラス

多くのドイツの住宅には、バルコニーやテラスが付いています。これらは屋外でリラックスしたり、植物を育てたりするためのスペースとして利用されます。


まとめ

ドイツの住宅は、伝統的な外観と先進的な省エネ設計、そして快適な間取りが特徴です。
広々としたリビングスペースや独立型のキッチン、家事室、そしてバルコニーやテラスなど、様々な要素が組み合わさり、住民の生活を豊かにしています。
これらの特徴は、ドイツの住宅市場が安定し、持続可能な環境を築いていることを示しています。

参考: