
2025年変化する住宅市場
新築供給減と拡大する中古+リノベ需要
これから家を買うなら「戸建て住宅orマンション」ですか?
それとも「中古+リノベ」ですか?」
住宅購入を検討する多くの人が直面するこの疑問。
2025年、日本の新築住宅供給数は減少傾向にあり、価格高騰や金利上昇も重なって住宅市場は大きな転換期を迎えています。
一方で、リノベーションを前提とした中古住宅の人気が高まり、補助金制度の充実も後押ししています。
今回のブログでは、2025年の新築供給の予測とその背景、そして拡大する中古住宅市場とリノベーション需要について徹底解説しました。
“今、選ばれる住まい”のトレンドを知ることで、自分に最適な選択が見えてくるはずです。
(1)新築住宅の供給数はこれからどうなる?
2025年の見通しと要因を分析
2025年7月時点の最新住宅関連データによると、日本における新築住宅の供給数は減少傾向にあります。
特に、注文住宅や分譲戸建て住宅の減少が顕著で、住宅市場の構造変化が浮き彫りになってきています。
■新築供給戸数の全体予測
国土交通省などの予測によれば、2025年度の新築住宅戸数は約79万戸とされ、2024年度(約79.7~81.6万戸)と比べて約0.8~0.9%の減少が見込まれています。
■住宅種別ごとの動向
●新築戸建て住宅(持家+分譲)
2025年4月時点の予測では、新築戸建て(注文住宅+分譲住宅)の新設着工戸数は合計約44万戸(注文住宅21.5万戸+分譲戸建て22.6万戸)。
注文住宅(持家):
2025年の着工数は12.2万戸未満と見込まれ、前年より減少しています。住宅価格の高騰、資材費の上昇、住宅ローン金利の引き上げなどが、購入意欲を冷やしている要因です。
分譲戸建て:
着工数は約22.6万戸と予想されており、前年比でわずかに+0.7%の微増となっています。ただし、全体としてはやや下降気味の状況と言えます。
●新築マンション
2025年の新築マンションの年間供給戸数は約26,000戸と、前年より13.0%増加の見通しです。
都市部や駅近の人気エリアに供給が集中しており、高価格帯であっても需要が根強く、堅調な動きを見せています。
●賃貸住宅(貸家)
賃貸住宅は34.3万戸と、前年から約1.2%減少すると見込まれています。
需要自体は底堅いものの、金利上昇の影響で投資家の新規参入が減少し、供給が抑制される傾向にあります。
■減少要因の背景にある3つのポイント
【住宅価格・建築費の上昇】
ウッドショックや人件費上昇などにより、建築費用が増大。
特に戸建て住宅はコスト高が直撃しています。
【金利の上昇】
住宅ローン金利がじわじわと上昇しており、購入者の負担感が増していることで、持ち家取得を見送る動きが出ています。
【建築関連法改正の影響】
2025年は建築基準法・建築物省エネ法などの改正により、一時的な「駆け込み需要」が前半に見られましたが、通年で見ると供給全体は減少傾向にあります。
2025年はマンション市場を中心に一部回復の兆しがあるものの、戸建て住宅や賃貸住宅は全体としては減少、または横ばいの見込みです。
今後の住宅市場は、「新築=高価格・供給減少」「中古=リノベで価値創出」という構図が強まり、住宅選びの基準も大きく変化していく可能性があります。
価格高騰や供給制限の時代だからこそ、冷静に情報を収集し、自分自身に合った住まい方、暮らしを検討することがますます重要になって行きますね。
(2)今、注目の中古住宅市場とリノベーション需要の急拡大とは?
中古住宅市場とは、すでに建てられた住宅(中古住宅)を売買・賃貸・リフォームなどで再活用するマーケットのことです。新築と比べて価格が抑えられており、リノベーションによる価値向上も期待できるため、近年ますます注目を集めています。
特に2024年以降は、新築住宅市場の縮小傾向に反して、中古住宅への需要が緩やかに上昇。2025年には前年比+2.3%前後の成長が見込まれており、地域別にも動きが活発化しています。
■首都圏の動向:成約・登録件数ともに大幅増
●中古マンション
首都圏では中古マンション市場が好調で、2025年5月時点の成約件数は前年同月比+35.0%の3,841戸。新規登録件数も15,636戸(+3.6%)、在庫数は44,314戸と依然としてタイトな供給状況が続いています。
平均成約価格は5,311万円(前年比+9.9%)で、築年数の平均は26.7年。価格が上昇しているにもかかわらず供給は堅調に増加しています。
●中古戸建て
成約件数は1,784戸(+62.8%)と急増。新規登録件数は6,425戸(+9.0%)とこちらも増加傾向です。平均価格は3,880万円(+0.4%)とマンションに比べると抑えめですが、築30年以上の物件が多数を占め、リノベーション前提の物件が多いのが特徴です。
また、住宅ローン控除の築年数要件緩和により、築古物件へのニーズが高まり、今後さらに市場が活性化すると見られています。
■近畿圏・中部圏の動向:マンションも戸建ても右肩上がり
●中古マンション
近畿圏では、2025年3月時点の成約件数が2,205件(+22.7%)、新規登録は6,654件(+11.4%)と大幅に増加。平均価格は3,070万円(前年比+8.0%)で、この10年で約1.2倍に上昇しています。
中部圏でも同様に成約件数は約1,800~2,000件(+15~20%)、平均価格は2,329万円(+3.7%)と堅調に推移しています。
●中古戸建て
近畿圏では成約件数が1,486件(+23.6%)、新規登録件数は4,745件(+11.9%)。
平均価格は2,966万円(+3.4%)となっています。
中部圏では成約件数が1,300~1,500件(+10~15%)、新規登録も4,000~4,500件と堅調で、平均価格は2,486万円で横ばいです。
■リノベーション需要の拡大とその背景
中古住宅市場の活性化に伴い、リノベーション(大規模改修)への関心も高まっています。
2024年Q3(10~12月)の建築物リフォーム・リニューアル工事の受注高は3兆2,552億円(前年同期比+5.9%)と堅調に推移。住宅リフォームの受注も確実に増加しています。
●高まるリノベーション需要の理由
【コストパフォーマンス】
新築より総コストが抑えられ、理想の住まいを予算内で実現しやすい。
【資産価値向上】
耐震性・断熱性などを向上させることで、長期的な価値を高められる。
【補助金制度の充実】
- 子育てグリーン住宅支援事業:最大60万円
- 先進的窓リノベ2025:最大200万円
- 給湯省エネ2025:最大20万円
これらの補助金制度は、断熱改修・高効率設備導入・バリアフリー化などリノベーションの主要項目を幅広くカバーしており、後押し要因となっています。
■政策的支援と今後の展望
国土交通省は「住生活基本計画」において、2025年までに中古住宅市場を8兆円、リフォーム市場を12兆円、あわせて20兆円規模へ拡大する目標を掲げています。
これは単年の達成を目指すものではなく、長期的な市場転換を見据えたビジョンです。政府の明確な方向性が市場の信頼を高め、民間事業者の参入も加速しています。
これまで新築志向が強かった日本ですが、住宅価格の高騰、空き家問題、高齢化社会といった課題を背景に、「中古+リノベ」の選択肢が主流となりつつあります。
市場が活性化することで、ハウスメーカーや不動産会社だけでなく、リフォーム業者、流通業、小売業など異業種の参入も増加。競争が進むことで、今後さらに多様な選択肢が生まれることが期待されます。
まとめ
「新築住宅」の減少は、住宅市場の「選択の多様化」を促す転機とも言えます。
かつての「新築=正解」という常識は崩れ、今は自身の“暮らしに合わせた住まいづくり”が主流になりつつあります。
特に「中古+リノベ」は、コスト・立地・自由度のバランスに優れ、これからの住まい選びの有力な選択肢に加わっていくでしょう。
制度や支援策も整いつつある今こそ、柔軟な視点で「理想の暮らし方」から逆算して、住まいを選ぶことがこれからの時代の賢い選択と言えるのではないでしょうか?
参考:
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