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2023.10.31

フランス住宅探訪独自の間取りとリフォーム費用

2024年、フランスで夏季オリンピックが開催されます。
一般的に、フランスは文化的に優れ、オシャレな国として知られていますが、その住宅事情はどうなっているのでしょうか?
今回のブログでは、フランスの典型的な住宅間取りに焦点を当て、フランスの住宅における特徴や、住宅事情、そしてリフォームにかかる費用について詳しくご紹介します。

(1)フランスの典型的な間取り

フランス、特にパリなど都心部では新築物件はほとんどありません。
フランスでは中古物件を購入して、リノベーションするというのが一般的となっています。フランスの間取りの特徴となっているのが、ワインの国フランスならでは「セラー」があるところでしょうか。
また、この部屋はいったい何に使うのだろうと言う部屋があったりします。下の図はフランスの間取りの一例です。

間取図は「芸術の国、フランスの間取り」より引用、作成しました。
URL:https://iemaga.jp/special/madori/world/france/france04.html

ここでは、フランスの間取りの特徴を5つに整理しました。

1.ゾーンが明確に分かれている

フランスの間取りで特徴的なのは、ゾーンが壁で仕切られている点です。
家族と過ごす場所とプライベートな空間、また仕事をする場所など、きっちりと目的ごとにゾーン分けされています。
その空間、空間を居心地良くするため、最適なインテリアが楽しめるようになっています。

2.キッチンが独立している

日本ではキッチンとダイニング、リビングと一体化しているケースが多いですが、フランスではキッチンが独立していることも多いようです。
フランスでは、キッチンはプライベートな空間として考えられています。
メリットとしては、キッチンの音やにおいがダイニングエリアに漏れにくいことやキッチンの掃除や片付けがしやすい、などが考えられます。

3.キッチンの近く「セラー」がある

フランスの間取りにある「セラー」とは、地下室のことを指します。
セラーは、ワインや食料品の貯蔵庫として使われることが多く、また、洗濯機や乾燥機などの家電を置く場所としても使われます。
図面ではセラーがキッチンとガレージの間にあります。

4.レジャールームがある

フランスは芸術の国としても有名ですが、音楽や絵画などの芸術を楽しむためや、ゲーム機やテレビを置いたゲームルーム、ビデオルーム、トレーニング器具を置きフィットネスルーム、本棚やソファを置いた読書室としてなど、いろいろな活用が可能な「レジャールーム」という部屋があります。
このレジャールームは、家族のライフスタイルを活かした部屋として、生活をより豊かにしてくれる空間と言えるでしょう。
フランスの住宅デザインでは、このレジャールームは欠かせない空間です。

5.バルコニー

図面を見るとキッチンからとリビングからアクセスできる広めのバルコニーがあります。
バルコニーは建物の外観を美しく、住人や訪れる人々に素晴らしい屋外体験を提供する重要な空間です。
フランスのアパートメントには、このバルコニーやテラスが付いていることがよくあり、屋外スペースは、屋外で食事を楽しんだり、庭園や街の景色を楽しむ空間として機能します。

(2)フランスの住宅事情と住宅価格など

フランスの不動産価格は地域によって異なりますが、2021年度には全体的に上昇傾向にありました。パリの場合、新築物件はほとんどなく、中古物件を購入して、リノベーションすることというのが一般的です。
フランスでは古いものを大切にする文化なので、築100年を超えるアパートなども珍しくありません。パリの家賃価格は、住宅の種類、場所、契約期間によって異なりますが、パリのワンルームアパートの平均家賃は月額約800~1000ユーロ(約12~16万円)程度が標準です。それでは、フランスの不動産の改修には実際にいくらかかるのでしょうか?
「Le Figaro」の記事によると、フランスでリフォームした場合の各種工事の費用の目安が示されていました。
ここではその内容を抜粋して紹介します。

(2-1)塗装

1平方メートルあたり25~40ユーロ(約4000~6500円)

(2-2)新しい窓

取り外しに50~100ユーロ(約8000~16000円)。
取り付けに150~300ユーロ(約2400~48000円)。
二重ガラス窓に100~1,000ユーロ(約16000~160000円)。

(2-3)新しい屋根

断熱材を備えた新しい屋根は、平均で1平方メートルあたり60ユーロ(約9500円)。
木材構造を交換する必要がある場合は、1平方メートルあたり約200ユーロ(約32000円)。

(2-4)暖房

ガスボイラーの場合は約3,000ユーロ(約48万円)。
薪ストーブの場合はその2倍、熱ポンプの場合は5,000~10,000ユーロ(約80万~160万円)。

(2-5)電気

家全体の配線をやり直す場合は、1平方メートルあたり110ユーロ(約18000円)。

(2-6)断熱

最も手頃な断熱材は、鉱物繊維、フェルト、ガラスまたはロックウールまたはグラスファイバーです。
これらは1平方メートルあたり3ユーロ(約480円)から。
その他、拡張ポリスチレン、セルラーグラスまたはバーミキュライト断熱材の場合は1平方メートルあたり10ユーロ(約1600円)から。

(2-7)配管

作業範囲と家のサイズによって価格が大きく異なりますが、50平方メートルのアパートメントの配管工事費用は平均5,000ユーロ(約80万円)。

参考:
How much does a French property renovation really cost?

まとめ

フランスの住まいは、ほとんどがリノベーションというのが驚きです。
その住まいは文化的な影響を受け続けており、その特徴は独自の間取りに現れています。
主なものでは、明確なゾーン分け、独立したキッチン、セラー(地下室)の存在、多機能なレジャールームなどがあげられます。
フランスでは古くからある要素を大切にしながらも、新しい異なる要素も取り入れていく、調和のとれたデザインを実現していくのがフランス人ならでは美意識と言えるでしょう。