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2023.10.11

地震に強い家を建てるために知っておきたい5つのポイント

「注文住宅を建てたいけれど、耐震性が大丈夫か気になる」という方もいるのではないでしょうか。
注文住宅の場合、耐震等級がどのような内容になるかは、お客様の注文される要望によって変わります。

このブログでは、耐震基準を表す耐震等級や耐震性能と免震性能の違い、注文住宅で耐震性を確保するためのポイントについて解説します。
この記事を読めば、地震に強い注文住宅を建てられる知識を得ることができるでしょう。

(1)耐震等級とは?

耐震等級とは、地震の揺れに耐えるために強度を高めた構造の総称を指します。
建築の素人でも分かるように、「家の地震に対する強さ」が判断しやすいように耐震等級1~3階級まであります。
耐震構造は免震や制震に比べるとコストが低く、注文住宅では、基本的に耐震構造を強く設計、施工される要望が多い傾向にあります。

注文住宅では、耐震等級の階級(1~3)を自由に選ぶことができます。
耐震等級の要望がある場合は、予めハウスメーカーや工務店へ要望を伝えておき、具体的には住宅性能評価機関に申請し評価を行っていただき、「住宅性能評価書」を発行・交付を受ける必要があります。
申請は基本的にはハウスメーカーまたは工務店が行います。

以下に耐震等級1~3の段階についてまとめました。

■耐震等級1~3の段階の内容

耐震等級1:

一般的な戸建て住宅は、「耐震等級1」にあてはまります。
耐震等級1とは、建築基準法で定められている新耐震基準で建物に備わっているべき最低限の耐震性能を満たす水準です。

具体的には、震度6強~震度7に相当する地震に対し、倒壊や崩壊しない住宅であり、震度5に相当する地震に対しては建物の損傷がない住宅の耐震レベルです。
ただ、「耐震等級1」は震度6強~7の地震では即倒壊しないレベルであり、大きな地震後、大規模修繕や建て替えとなる可能性があります。

耐震等級2:

耐震等級2は耐震等級1の1.25倍の耐震性能のレベルです。
具体的には、震度6強~震度7に相当する地震に対し、一定の補修程度で住み続けられるレベル。
耐震等級2は公共施設や商業施設など、人々が集まる場所や重要な建物で適用されています。

また、「長期優良住宅」の認定には、耐震等級2以上の強度が必要となっています。
長期優良住宅についての詳しい内容についてはこちらでも解説しております。参考にしてみてください。

耐震等級3:

この耐震等級3は非常に高い等級レベルです。
耐震等級3は耐震等級1の1.5倍の耐震性能レベルです。
具体的には、震度6強~震度7の地震でも、軽い補修程度で住み続けられるレベルです。
耐震等級3は、警察署・消防署をはじめとする防災拠点(避難所など)に適用されてます。

耐震等級の標準となっているのは建築基準法で定める耐震等級1で、数字が上がるごとに建物の耐震性能が高くなります。
耐震等級の設計基準に従って建築物を建てることにより、地震などの災害に対して、適切な安全性を確保できるようになります。
また、耐震等級の取得は建物が建ってからでは申請できません。
まずは、住宅設計時に建築図面や計算書などにより等級申請することになるので注意が必要です。

(2)耐震等級申請はどうすれば良いの?

耐震等級の認定を受けるには、「住宅性能評価機関」という専門機関の審査に合格する必要があります。
耐震等級1は建築基準法で定められている最低基準であるため、認定を受ける必要はありません。
認定が必要なのは、「耐震等級2または3」の場合です。

耐震等級2または3の申請はハウスメーカーや工務店が行うことが一般的ですので、注文住宅の場合は予め耐震等級の要望を伝えておくことが大切です。
耐震等級2又は3の取得の内容により、設計、施工に制約を受け、コスト高となりますので、最初に等級取得の希望の有無を伝えておくことが重要です。
耐震等級の申請書は住宅性能評価機関が指定する様式で作成する必要があります。

必要な書類は以下の内容です。

  • 申請書(住宅性能評価機関が指定する様式)
  • 設計図書(平面図、立面図、断面図、構造計算書など)
  • 検査済証
  • 全部事項証明書写し(土地、建物登記事項を証明)
  • 申請者の本人確認書類

住宅性能評価機関の審査に合格すると、「住宅性能評価書」が発行されます。

住宅性能評価書とは、住宅性能表示制度に基づいて交付される書類の1つで、住宅の性能を等級や数値で評価します。住宅性能評価書には、耐震性・耐久性・省エネ性などの10項目の性能評価を満たした住宅にのみ交付されます。

耐震等級の申請費用は、住宅性能評価機関によって異なりますが、数10万円から40万円程度必要です。

(3)耐震性を高めるための5つポイント

耐震等級に関係なく耐震性能を高めるには建物の基礎構造、建物の重さ、耐力壁を増やす、耐震金物を使うなどがありますが、ここではそのポイントを5つに絞りまとめました。

1.地盤調査を行う

いくら耐震性能が高い建物を建てても、その土地の地盤が弱い場合、地面ごと建物が倒壊する可能性があります。
その為、まずは地盤調査を行い、地盤の状態を確認することです。地盤が弱い地域の場合は、地盤の状態に合わせて地盤改良工事を行う必要があります。

2.基礎、柱、梁の強度を高める

地震の揺れは、基礎から建物全体に伝わります。そのため、基礎をしっかりすることで、建物の揺れを抑えることができます。
基礎は、鉄筋コンクリート造が一般的です。
また、柱や梁を太くすることも有効です。
柱や梁は、建物の骨組みとなる部分です。柱や梁を太くすることで、建物の強度を高めることができます。

3.耐力壁を増やす

耐力壁とは、地震や風など横からの力に耐えることのできる壁のことで、耐力壁が多いほど住宅の耐震性は高まります。
耐力壁は、建物の構造を支える役割を果たし、建物の耐震性や安全性を確保するために重要です。

耐力壁は、建物の構造によって異なる種類がありますが、木造軸組工法の場合、筋交いを使った耐力壁が代表的なものです。
また、2×4工法は「壁面」で家を支える構造になっているため、地震の揺れを受けたときの変形が少なくなります。

4.建物の重量を軽くする

建物の重量を軽くすることは、耐震性を高めるために重要な要素の一つです。
建物の重量が軽ければ、地震時に受ける力も小さくなりますが、建物の重量が重くなると地震の揺れが住宅に伝わった時の揺れ幅が大きくなるので、住宅へのダメージが大きくなります。

住宅の材料を見直したり、住宅の高さを低くすることによって住宅重量を軽くし、耐震性を高めることにつながります。

5.壁量計算、構造計算を行う

耐震性を高めるためには、壁量計算や構造計算が有効です。
一般的に、木造住宅では壁量計算を行い、耐力壁の配置を決定します。これにより、地震や台風の横からの力に対して必要な耐力壁の量が配置されているかどうかを計算します。

さらに、構造計算を行うことで、地震や台風、積雪などによって建物の構造部分にどの程度の負担がかかるかを計算し、構造の強度を確保できます。

構造計算は壁量計算よりも緻密で科学的な計算となります。
木造住宅では、壁量計算で耐震性を確保することが一般的ですが、構造計算を行うことで、より高い基準の耐震性を確保することができます。
構造計算は、時間も費用もかかりますが、信頼できる計算と言えます。

(4)耐震と関連がある免震、制震とは

住宅を地震から守る方法は、大きく分けると「耐震」、「免震」、「制震」の3種類があります。

耐震とは、建物を強くする構造です。
壁に筋交いを入れたり、耐力壁で構成したり、部材の接合部を耐震金具で補強したりして、建物をより強くし、揺れに対して倒れない構造にします。
大きな地震が起きた場合でも、倒壊しないように住宅の強度を高めることが耐震です。

免震は、建物と地盤を切り離す構造です。
免震装置を設けることで、地震時の力を受け流して建物の揺れを少なくします。
免震装置は、ダンパーやゴム状のアイソレータなどで構成されています。それらは、弾性や摩擦を利用して地震の振動を吸収・分散し、建物に伝える揺れを軽減します。
免震構造の特徴は、地震による揺れが建物に伝わりにくいことです。
免震は分譲マンションに採用されています。

制震は、建物内で地震の揺れを吸収する構造です。
制震工法は、地震の揺れを制御するために、特定の部品や装置を用いる技術です。
例えば制震装置の場合、建物の柱や梁に制震装置を設置することで地震の振動を吸収・減衰させることができ、建物の揺れを軽減します。
制震は、高層ビルやタワーマンションなどの高い建物で採用されています。

地震に強い注文住宅を建てる場合、耐震、免震、制震を比べると、ほとんどが耐震技術が採用されています。
それは建築コストが一番安価であることが理由です。

注文住宅で耐震性の高い家を建てるには、耐震等級を高め、地盤改良などさまざまな点に注目すべきです。
ただ、耐震性の高い家にするほど、間取りなど制約があり、建築コストも高くなる可能性があります。

地震の多い日本では、耐震性の高い家に住みたいというのは当然の願望です。ハウスメーカーや工務店では様々な耐震技術を提供しているので、相談してみることをお勧めします。

まとめ

耐震性の強い注文住宅を建てるには、耐震等級や耐震性能について理解し、適切な対策を講じることが重要です。
耐震等級は、1から3までの選択肢があり、建物の強度が高くなるにつれて安全性が向上します。
耐震性を高めるためには、地盤調査、基礎や柱・梁の強化、耐力壁の増設、建物の軽量化、壁量計算や構造計算などの対策が役立ちます。

耐震性についてはハウスメーカーや工務店と設計の早い段階で相談し、最適な対策を検討すると良いでしょう。

参考: