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2024.04.26

建築プロジェクトの成功を支える設計監理の仕事とは

建築プロジェクトの成功を支える
設計監理の仕事とは

住宅設計の求人を見ると、「設計監理」という業務内容をよく見かけますよね。
「設計」と「監理」って別々の仕事なのか、具体的に何をするのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
実は、「設計監理」は、建物の設計から完成までの全体を統括する重要な役割を担う仕事なのです。

そこで今回は、この「設計監理」について、建築プロジェクトにおける設計監理の重要性と具体的な仕事内容についてと、さらに、設計監理料の算出方法や費用の目安についても解説します。
設計監理の仕事について、その役割や費用など、理解を深める一助となれば幸いです。

(1)設計監理の仕事とは?

設計監理の仕事は、設計図としてまとめられた内容に対して、工事費が適切かどうかを精査、査定したり、施工図をチェックしたり、建築物が実際に現場で工事される際に、建築に間違いや手抜き等がなく施工されているか、建築主に代わってチェックする「監理」を行います。
具体的には、「見積精査」、「施工会社の選定」、「工事監理」、「検査・引渡し」が主な仕事となります。
ひとつずつ見ていきましょう。

見積精査

見積精査は、見積りが適切かどうかを検証することです。
実施設計図面が完成した段階で、見積作成依頼をした施工会社から見積書を提出してもらい、抜けや漏れ、重複がなどないか、内容の精査します。

施工会社選定

施工会社から提示された見積書や資料に基づき、各施工会社の技術力、実績、信頼性、安全性などを考慮しながら、適切な施工会社の選定を行います。

工事監理

工事現場において設計図書や仕様書通りに工事が進捗しているか否かの点検・確認を行い、建築主へ定期報告を行います。
設計図書や仕様書などと異なる個所がある場合、施工会社の工事管理者に指摘し是正してもらいます。
現場では、定期的に定例会議を行い、工程、品質、予算、安全面などの管理、調整を行います。

検査・引渡し

設計監理における検査・引渡しは、建築プロジェクトの最終段階で行われる重要な仕事です。
建築主へ引渡しの前に、施工された建物の検査を行い、建物・設備などの寸法・強度・仕様、性能などの最終確認を行います。
その上で役所や審査機関による完了検査を受け、是正点がある場合は施工会社へ改善を指示します。

このように、設計監理は設計から施工に関して、施工品質を高め、予算内でスケジュール通りに完工、引渡しするために、建築プロジェクトの成功には不可欠な役割を果たします。

 

(2)設計監理に必要なスキルと設計監理料

設計監理には幅広いスキルセットが必要です。
建築、土木工学の専門知識やプロジェクト管理スキル、コミュニケーション能力など多岐にわたります。
資格的には、施工が設計図、施工図どおりに行われているのかチェックできなければならないので、工事監理者を務めるには建築士1級または2級の資格が必要になります。
工事監理者は、建築士の資格があればなれるため、建築物の設計を行った建築士が工事監理者の役目も引き受けることが多いと言えます。

設計管理者は建築士の資格を有していれば、基本的には行うことは可能ですが、スキルとしては、コミュニケーション能力があることが重要です。
設計監理者は建築主や様々なステークホルダーと連携し、プロジェクトを円滑に進めるためにコミュニケーションをとる必要があるからです。
問題が発生した場合など、適切なコミュニケーションによって迅速かつ効果的に解決策を見つけることができます。

また、建築において重要な設計監理ですが、その費用はどのくらいなのでしょう?
国土交通省では、工事監理などの業務報酬基準の目安として費用の算出方法を提示しています。
費用算出の計算式は「実費加算方法」と「略算方法」の2種類となっています。

【実費加算方法】
設計監理料=直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費+技術料等経費+消費税相当

【略算方法】
設計監理料=業務量 × 人件単価 × 2.1+特別経費+技術料等経費+消費税相当

と上記のような計算式はありますが、これだと高額な設計監理料になる傾向があるため、実際に採用している建築事務所は多くありません。
設計監理料は、プロジェクトの規模や複雑さ、地域、設計監理者の経験や専門性などによって異なりますが、一般的には設計事務所に設計監理を依頼した場合、工事金額の10%程度が目安となります。

まとめ

設計監理は、建築プロジェクトにおいて設計から施工までを統括し、品質管理や予算管理を行う重要な役割を担います
見積精査や施工会社選定、工事監理、検査・引渡しといった具体的な業務を通じて、プロジェクトの成功に貢献します。
また、設計監理者には幅広いスキルが求められ、設計図どおりの施工を確保するためのコミュニケーション能力も重要なスキルです。
設計監理料は、プロジェクトの規模や複雑さ、地域、設計監理者の経験や専門性などによって異なりますが、一般的には工事金額の10%程度が目安となっています。
設計監理の役割、必要スキル、設計監理料について理解を深め、建築プロジェクト成功に向けて取り組んで行きましょう。

 

参考: