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住宅設計住宅・不動産関連

2024.09.27

予算内で理想の家を手に入れる!注文住宅のコストダウン実践ガイド

予算内で理想の家を手に入れる!
注文住宅のコストダウン実践ガイド

 

2024年7月30日に公表された国土交通省の「住宅市場動向調査」によると、住宅の購入において、最も多くの世帯が「価格・家賃の上昇」を理由にその価格において妥協していることが明らかになりました。
特に、注文住宅では、予定より住宅価格が高くなったと回答した世帯が67.9%と高い割合を占めています。この調査結果から、注文住宅におけるコストダウンは、多くの世帯にとって重要な関心事であることがわかります。
そこで、今回は、間取り、設備、素材といった観点から、注文住宅のコストダウンを実現する方法について解説していきます。

(1)建物の形と間取りを見直しコストダウン

 

家を建てる際に、建築費用を抑えたいと考える方は多いのではないでしょうか。
実は、形状や間取りをシンプルにするだけで、大幅なコストダウンが期待できます。
廊下を短くしたり、部屋を四角形に近づけるなど、工夫次第で施工が効率化され、結果的に費用が削減されます。
ここでは、そのようなコストダウンにつながる住宅の形状や間取りのヒントをいくつか紹介します。

1.  総2階建てにする

総2階とは、外壁の凸凹や、柱が少ない家のことです。
1階と2階の外壁の位置を一致させる総2階建ての家を選ぶことで、建築費用を抑えられます。建物に凹凸がないため、建築資材を無駄なく使用でき、耐震性能の向上も期待できます。

2.  間取りを正方形にする

正方形や長方形の部屋は施工が簡単で、材料の無駄も少ないため、コストを抑える効果があります。
特に、基礎部分や屋根部分でのコストダウンが期待できます。
また、屋根の形を切妻屋根や片流れ屋根などのシンプルな形状を選ぶと、施工手間が減り、コストダウンが可能です。

3. 用途を兼ねることで部屋数を減らす

注文住宅は、部屋数を少なくすることで、ドアや壁材、クロスにかかる経費を節約することができます。
空間がつながることで、エアコン1台で冷暖房を賄えるなど、光熱費の節約にもつながります。
例えば、子どもが小さいうちは、間仕切りを設けずに広い空間として使い、必要に応じて後から仕切ることで初期費用を抑えられます。

4. 収納面積を減らす

収納スペースを見直すことでも、コストダウンすることが出来ます。
収納スペースは、全ての部屋に収納を設置するのではなく、必要な場所に必要なだけの収納を設けるようにします。
また、壁面収納やロフトを設け収納スペースにするなど考えられます。

5. 玄関ホールを作らない

海外の住宅でよくありますが、玄関ホールを省略し、直接リビングにつながる間取りにすることで、スペースの有効活用とコストダウンを図れます。
土間の三和土(たたき)から、直接リビングなどに続く間取りにして玄関ホールを省くことで、狭小敷地でも広いLDKが確保することができます。

6. フェンスや門扉を設置しない

門扉やフェンスといった外構、植栽工事は、家に住み始めてからでも後から容易に付け足せる部分です。新築時に外構工事を行うと、建築費用と合わせて大きな出費となります。後からじっくりと計画し、自分の好みの外構や植栽を作ることで、初期費用を抑えることができます。


(2)住宅設備と素材を見直しコストダウン

 

注文住宅は、理想の住まいを実現できる反面、費用が高額になりがちです。しかし、住宅設備や内装材の見直しを行うことで、大幅なコストダウンが可能です。
高級な素材にこだわるよりも、機能性とデザイン性を両立させた標準的なものを選ぶことで、予算内で理想の住まいを実現できます。
例えば、フローリングは、無垢材よりもお手頃な合板や積層材を選ぶことも検討してみましょう。
ここでは、住宅設備と内装材におけるコストダウンの具体的な方法をいくつか紹介します。

1.  水周りを集中させる

キッチン、浴室、洗面所などの水回りを1箇所にまとめることで、配管工事の費用を抑えられます。
2階建ての家の場合は2階にもトイレを作ることがあたりまえになっていますが、トイレを一箇所にするだけでもかなりコストを節約できます。

2.  キッチンなどの設備のグレードを落とす

キッチンやバスルームはシステムキッチンやユニットバスを選ぶことで施工の手間を減らしコストダウンになります。
キッチンの食洗機やユニットバスは一定期間を過ぎると故障が起きたり、部品交換がなくなる可能性がるため、交換することを前提に設備のグレードを落とすことも検討すると良いでしょう。

3. 窓を減らす

窓の数を減らしたり、サイズを小さくしたりすることで、設置費用を抑えることができます。ただし、採光や通風に影響を与える可能性があるため、バランスを考慮する必要があります。
基本は、南側の窓は大きくし、東西の窓は小さくすることです。
また、窓の数を減らすことで、窓の費用が抑えられるだけでなく断熱性の向上にもつながり、冷暖房費を抑えることにもつながります。

4. 壁紙のビニールクロスは量産品にする

壁のビニールクロス(壁紙)は面積が広いので、コストダウンのポイントとなります。
この壁紙を量産品にすることで単価が安く抑えられ。コストダウンになります。
量産品には、様々なデザインやカラーバリエーションが揃っているため、好みの壁紙を見つけすく、一般的な壁紙のため、どの業者でも施工が問題なくできメリットが大きいと言えます。

5. 照明は引っ掛けシーリングにする

照明器具をダウンライト等の埋め込み式ではなく引っ掛けシーリングにすることでコストダウンとなります。
照明器具は施工時に選定せず、引っ掛けシーリングにすることで、後から自由に選ぶことができます。
また、将来的にも最新の照明器具を取り付けられますし、照明器具が故障した場合でも、簡単に交換が可能です。

6. 太陽光パネルは後づけできるようにする

太陽光パネルの設置は高額な工事となるため、後回しにすることで初期費用を抑えられます。
太陽光パネルは将来的に安価で今より性能が良いものが出てくることを考え、住宅施工時は構造計算と配線だけ整えるのが良いでしょう。

7. 設備、素材は相見積もりを取り検討する

複数の業者から見積もりを取り、比較することで、よりコストパフォーマンスの高い選択が可能です。
複数の業者からの見積もりを比較して、最も安い業者に発注することもできますし、ある程度の価格を知ることで、価格交渉を行うこともできます。

注文住宅のコストダウンを考える際は、住まいの安全性や快適性といった、住まいの基本性能を落とさないことが重要です。
一時的なコスト削減のために、これらの部分で妥協してしまうと、結果的に大きな損失につながる可能性があります。
建築設計会社やメーカー、工務店の担当者とよく相談、検討し、ご自身のライフスタイルやご予算に合った最適なプランを見つけてください。

まとめ

注文住宅のコストダウンで最も重要なことは、ご自身の優先順位を明確にし、それに合わせてプランを立てることです。
どのような家に住みたいか、どのような暮らしをしたいのか、それを実現するために必要なものは何かを明確にして、それらに優先順位を付けることが重要です。
また、それらをベースに、建築設計会社やメーカー、工務店の担当者など、専門家の意見を聞くことで、より効果的なコストダウン策を行うことができます。

 

参考: