TOPICS

住宅設計省エネ住宅住宅・不動産関連リフォームBELS

2025.01.10

【2025年建築基準法改正】知っておくべき3つのポイント

【2025年建築基準法改正】
知っておくべき3つのポイント

2025年4月に実施される建築基準法の改正により、私たちの住環境はどのように変わるのでしょうか?
読者の皆さんが最も気になるポイントは、小規模建築の簡素化措置「4号特例」の見直し、省エネ基準の義務化、そして一部地域での太陽光発電の設置義務化です。
このブログでは、それぞれの制度変更の具体的な内容と、その影響について詳しく解説します。
このブログを読むことで、新築やリフォームを考えている方は、今回の大きな改正に対する知識を身に付け、今後の住まいづくりに活用することができるでしょう。

(1)2025年の建築基準法改正で何が変わる? -4号特例-

2025年の4月から、建築基準法の改正が実施されます。今回の改正は、建築物分野での省エネ対策を促進し、かつ木材利用を推進することを目的としています。
これは、2050年のカーボンニュートラル、並びに2030年度までに湿平効果ガス量を46%削減する目標達成に向けた重要な施策とされています。

大きな要点として、「4号特例の見直し・縮小」、「構造関係要件の見直し」、および「省エネ法改正」が施行されますが、ここでは「4号特例の見直し・縮小」について解説します。


【4号特例の見直し・縮小について】

2025年4月実施の建築基準法改正では、4号特例の見直し・縮小が重要な変更点となっています。この改正により、建築確認申請や審査プロセスが大きく見直されます。

4号特例とは、小規模建築物の建築確認申請を簡素化する制度でしたが、2025年4月からはこの制度が大幅に縮小されます。主な変更内容は下記の3点です。

1. 建築物の分類変更

現状の「4号建築物」が廃止され、新たに「新2号建築物」と「新3号建築物」に再分類されます。

図01

2. 審査省略制度の対象範囲縮小

・新2号建築物:すべての地域で審査省略制度の対象外となります。
・新3号建築物:都市計画区域内では審査省略制度の対象となりますが、建築確認・検査は必要です。

3. 建築確認・検査の必要性拡大

木造2階屋の建築物は、すべての地域で建築確認・検査が必要となります。

これらの変更により、住宅の新築においては、建築確認申請時に構造の審査が必要となる場合が増えます。また、増改築や一定の内容のリフォームでも建築確認申請が必要になる場合があります。

 

(2)2025年の建築基準法改正で何が変わる?-省エネ基準の義務化-

2025年4月からは、原則としてすべての新築住宅や非住宅に対し、省エネ基準への適合が義務化されます。これにより、建築確認時に省エネ基準への適合性審査が実施されます。
現状では300㎡以上の中規模・大規模非住宅建築物のみが義務化の対象でしたが、2025年4月以降は対象が大幅に拡大され、すべての新築住宅や300㎡未満の非住宅も対象となります。

図02

【省エネ基準の要点】

すべての住宅で「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級4」以上を満たすことが求められます。

●断熱等性能等級4とは

「断熱等性能等級4」は、以下の2つの基準を両方満たす必要があります。
ただし、地域によって基準値が異なるため、自分の住む地域における基準値をしっかり確認する必要があります。

●断熱性能基準(UA値)

建物の外皮(屋根、外壁、窓、底など)から熱が逃げる量を表す数値です。数値が小さいほど断熱性能が高いことを意味します。

●地域区分別基準値

日本は地域ごとに気候が異なるため、断熱性能の基準も地域ごとに異なります。例えば、寒冷地ではより嚴しい基準値が設定されます。

例えば、東京都の場合:UA値0.87以下(2025年基準)が目安です。

●一次エネルギー消費量等級4とは

「一次エネルギー消費量等級4」は、高い省エネ性能を持つことを示す指標であり、光熱費の削減、快適な室内環境、地球温暖化対策への貢献など、多くのメリットがあります。

一次エネルギー消費量等級4とは、
「設計一次エネルギー消費量」÷「基準一次エネルギー消費量」で決まる「BEI」という数値に基づき等級が決まります。
BEIが小さいほどエネルギー消費量が少なく、等級は高くなります。

一次エネルギー消費量等級4の基準は「BEI=1.0」で、現代の基本的なエネルギー効率基準を満たし、適度な省エネ性能を有しています。
一次エネルギー消費量等級4以上の住宅は、エネルギー消費と環境への影響が少ない住宅といえます。

尚、「BEI」については、本ブログ「家を建てるなら知っておきたい! BELSが示す住宅性能とは」でも詳細を知ることができます。

※一次エネルギーとは、石油、石炭、天然ガス、太陽光、などの自然界で採れるエネルギーのことです。


(3)太陽光発電の義務化

東京都では、2025年4月から新築建築物への太陽光発電設備の設置が義務化されます。この制度は、2030年までに都内の温室効果ガスを50%削減する「カーボンハーフ」の実現を目指す取り組みの一環として導入されます。

【対象となる建築物】

義務化の対象は、延べ床面積が2,000㎡未満の新築建築物(住宅を含む)です。これには主に戸建て住宅やマンションなどが含まれます。これらの建築物には、以下の要件が求められます。

1.太陽光発電設備の設置
2.断熱性能および省エネ性能の確保

ただし、屋根の形状や向き、日照条件などにより設置が困難な場合には例外が認められることがあります。

太陽光発電設備の設置義務は、住宅を建築するハウスメーカーや工務店などの事業者が負います。そのため、家を建てる際には、これらの事業者から太陽光パネルの性能や設置に関する説明を受けることになります。

東京都に限らず、太陽光発電の設置義務化は他の地域でも進んでいます。たとえば、京都府ではすでに義務化が実施されており、神奈川県川崎市や群馬県でも義務化が予定されています。

太陽光発電の導入費用を抑えるため、各自治体は補助金制度を設けています。ただし、補助金制度の有無や内容は自治体によって異なります。一部の自治体では補助金事業を実施していない場合もありますので、事前の確認が必要です。

東京都では、「太陽光発電設備の設置に対する助成事業」による補助金が利用可能です。
この制度を活用することで、導入にかかる負担を軽減できます。詳細は以下の公式ウェブサイトで確認できます。

東京都の太陽光発電設備の設置義務化は、カーボンニュートラルに向けた重要な一歩です。今後も全国的に同様の取り組みが拡大することが予想されるため、補助金制度の活用や各地域の最新情報に注目していきましょう。

まとめ

今回のブログでは、2025年4月に施行される建築基準法の改正について、「4号特例の見直し・縮小」「省エネ基準の義務化」「太陽光発電の義務化(東京都の場合)」の3つの主要なポイントを解説しました。
4号特例の見直しにより、これまで簡略化されていた小規模建築物の建築確認や審査が厳格化されること、そして全ての新築住宅に省エネ基準への適合が義務付けられることは、今後の住まいづくりにおいて重要な変化となります。
また、東京都における太陽光発電の義務化は、環境への配慮を加速させるものです。
これらの改正は、建築業界だけでなく、家を建てる私たちにとっても大きな影響を与えるため、最新の情報をキャッチし、適切な対応をすることが重要です。

 

参考: