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注文住宅住宅設計省エネ住宅補助金

2023.06.27

省エネや環境に配慮した住宅とは 3つのポイントと補助金について

「省エネや環境に配慮した住宅」には、様々な言い方があります。
エコハウス、グリーンハウス、省エネ住宅、最近ではサステナブル住宅など、それぞれ、意味が微妙に違っています。
また、2018年に施行された「住宅の省エネ性能の説明義務制度」では、建築士が施主に対して、住宅の省エネ性能について説明する義務が明記され、省エネや環境配慮住宅という視点は、今後、政府の減税措置、補助金、助成金の支援策の実施、借入時の低金利融資などが後押しし、省エネや環境に配慮した新築住宅は、普及することは間違いないでしょう。
このブログでは、「省エネや環境に配慮するために押さえておくべき3つのポイント」と「政府の新築住宅に関する省エネ補助金」について整理しました。

「省エネや環境に配慮した住宅」3つのポイント

2025年4月(予定)から全ての新築住宅・非住宅に「省エネ基準」適合が義務付けられます。
これまではオフィスビルなど一部の建物が対象とされていましたが、2025年度以降は、住宅を含む全ての新築の建物が断熱材の厚さや窓の構造などの基準を満たすことが求められるようになります。
ここでは省エネ基準のポイントとなる「断熱性の向上」、「高効率な給湯・冷暖房システム」、「再生可能エネルギーの活用」について解説します。

(1)断熱性能の向上

断熱性能の高い壁、屋根、床、窓などの設計と高品質な断熱材の使用により、室内の熱の逃げを抑えることができます。
また、断熱性能と共に高気密性も重要です。
これらにより、冷暖房効果が向上し、エネルギーの浪費を最小限に抑えることができます。

(2)高効率な給湯・冷暖房システムの導入

エネルギー消費の大きな部分を占める給湯や冷暖房において、省エネルギーな機器やシステムを採用します。
例えば、エネルギー効率の高いヒートポンプシステムや太陽熱利用システムを採用することで、エネルギー消費を削減できます。

(3)再生可能エネルギーの導入

再生可能エネルギーとは、太陽光発電や風力発電などのエネルギーです。
太陽光パネルや風力タービンなどを利用することで、持続可能なエネルギー供給が可能となり、電力の使用量や環境への負荷を減らすことができます。

省エネ基準とは、建築物のエネルギー効率を向上させるための基準です。
それら基準値をクリアした住宅は、住宅のエネルギー消費を削減し、環境負荷の低減やエネルギーコストの節約が図られます。
二次エネルギーの使用量が減少することで、地球温暖化や環境負荷の軽減などサステナブル、SDGsにも繋がることでしょう。

参考:住宅の省エネ化は必須対策!2025年適合義務化と新基準について解説します!

「省エネや環境に配慮した住宅」のメリットとデメリット

省エネや環境に配慮した住宅は、長期的な視点で考える必要があります。環境への影響や経済的利益を考慮し、判断することが重要です。

メリットとしては、省エネルギー、再生可能エネルギーの利用により環境負荷を減らし、さらに高い断熱性、気密性により光熱費を削減でき、エネルギー価格が上昇しても影響が少なくてすむでしょう。
また、省エネに配慮した住宅は、適切な断熱、通気性、自然の採光利用により、居住者の健康面の快適性をも向上させるでしょう。

デメリットは、住宅設計や材料の選定において高性能な断熱材やエネルギー効率の高い設備の導入により、通常より高価な製品を購入しなければならない為、コスト高になります。
また、省エネ住宅は、地域の建築規制や制約が異なる場合があるので、建築プロセスに制約を生じる場合があります。

国の代表的な省エネ住宅補助金

(1)こどもエコすまい支援事業

こどもエコすまい支援事業とは、新築住宅を取得する子育て世帯または若者夫婦世帯や、リフォームする世帯に向けた補助金です。
対象は、ZEHレベルの高い省エネ性能を持つ住宅を新築する子育て世帯または若者夫婦世帯や、一定のリフォームを行う世帯です。

ZEHレベルとは、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略で省エネ基準比20%以上、かつ再生可能エネルギーによって住宅の一次エネルギー収支ゼロを目指す住宅を指します。

【対象】

  • 子育て世帯:18歳未満の子供がいる
  • 若者夫婦世帯:申請時にどちらかが39歳以下

【補助金】

  • 新築住宅:最大100万円
  • リフォーム:最大60万円

【申請期限】

  • 2023年(令和5年)3月31日~令和5年12月31日(予定)

【申請手続き】

  • 建築事業者、住宅販売会社が申請を行う

(2)ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金

ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)補助金とは、政府がZEHを実現している新築住宅の増加を目指しており、経済産業省・環境省によるZEHを新築する方や既築住宅をZEHへ改修する方に向けて交付している補助事業です。

この補助金事業は、ZEHのほか、ZEH+や次世代ZEH+、次世代HEMSなどの高性能住宅が補助金申請の対象となります。

【対象】

登録されたZEHビルダーまたはプランナー(ハウスメーカー・工務店)によって、要件に合った住宅を建てた方

【主な要件】

  • ZEH:ZEH住宅の定義を満たすこと
  • ZEH+ 次世代ZEH+:ZEHより高性能なZEH+住宅
  • 次世代HEMS実証事業:より高性能なZEH+

【補助金】

  • ZEH:最大55万円
  • ZEH+ 次世代ZEH+:最大100万円
  • 次世代HEMS実証事業:最大112万円

【申請期限】

2023年(令和5年)4月28日~2024年1月9日まで

【申請手続き】

登録されたZEHビルダーまたはプランナー(ハウスメーカー・工務店)

(3)地域型住宅グリーン化事業

地域型住宅グリーン化事業とは、国土交通省の採択を受けたグループが建てる、省エネルギー性や耐久性などに優れた新築・中古の木造住宅に対して補助金が交付される補助事業です。

【対象】

グループ登録された地域の工務店によって、要件に合った木造新築住宅を建てた方。
※要件は住宅のタイプによって異なります。
①長寿命型(認定長期優良住宅)
②ゼロ・エネルギー住宅型・長期対応(ZEH、NearlyZEH)
③ゼロ・エネルギー住宅型・ZEH(ZEH、NearlyZEH)
④ゼロ・エネルギー住宅型・低炭素(ZEH Oriented、認定低炭素住宅)

【補助金】

①長寿命型(認定長期優良住宅):最大105万/135万円
②ゼロ・エネルギー住宅型・長期対応(ZEH、NearlyZEH):最大110万/140万円
③ゼロ・エネルギー住宅型・ZEH(ZEH、NearlyZEH):最大105万/135万円
④ゼロ・エネルギー住宅型・低炭素(ZEH Oriented、認定低炭素住宅):最大80万/110万円

【申請期限】

  • Ⅰ期:採択日~2023年11月20日
  • Ⅱ期:2023年12月上旬以降

【申請手続き】

国が採択した「グループ:地域の中小工務店や建築・住宅会社で構成」に所属した事業者

(4)LCCM住宅整備推進事業

ZEH住宅の条件に加えて、家のライフサイクル(新築・改修・解体・再利用まで)で二酸化炭素の発生を抑えた住宅への補助金です。
LCCM住宅とは、日本政府が最終的に目指すべき住宅として打ち出している「新たな住宅のカタチ」です。

具体的には、建設・運用(居住)・廃棄という家のライフサイクルにおいて、排出されるCO2(二酸化炭素)の収支がマイナスになる住宅を指します。
省CO2のための様々な工夫をするのはもちろん、太陽光発電などの再生可能エネルギーを創出する設備も必要になります。

【対象】

下記の主な要件を満たす新築住宅を建てた方

【主な要件】

  • ZEH住宅の定義を満たすこと
  • 再生可能エネルギーを除き、一次エネルギー消費量が現行の省エネ基準値から25%削減されている
  • ライフサイクル全体のCO2排出量を算定し、その結果が0以下となること

【補助金】

補助限度額:一戸あたり140万円かつ、掛かり増し費用1/2以内。
※掛かり増し費用とは、LCCM住宅にするために一般的な仕様に比べてかかった費用のこと

【申請期限】

2023年(令和5年)4月17日~2024年1月中旬まで

【申請手続き】

建築するハウスメーカーまたは工務店

参考:【2023年度】新築の住宅購入でもらえる補助金・助成金・税金優遇(減税)制度まとめ

まとめ

省エネや環境に配慮した住宅を新築する場合、初期費用が通常より必要となりますが、長期的には光熱費の削減や地球温暖化対策などメリットもあり、何より住む人の住居内での快適性、健康面の向上など、これからの住宅のあるべき姿と言えるのではないでしょうか。
省エネ関連の補助金も各種整備され始めていますので、活用し実現されると良いでしょう。