
【収納革命】
快適な家を作る賢いアイデア
「収納が少なくて困っている」、「もっと効率的な収納方法はないかな」、「新居を建てる時、収納はどのくらい必要?」などなど、住まいの収納に関する悩みは尽きません。
今回のブログでは、住宅設計における理想的な収納率から、シューズクローク、パントリー、ファミリークローゼットなどの効果的な収納スペースについて、さらには未来の収納のあり方などについて解説します。
これらの収納の知識を身につけることで、後悔のない収納計画が立てられ、家族のライフスタイルに合った快適な住空間を実現することができます。
(1)住宅の利便性を高める 価値ある収納設計とは
住宅を設計する際に、収納に関する後悔が多いという話を聞いたことはありませんか?
収納力の高い住宅は、生活をより効率的で機能的なものにします。
注文住宅における収納設計の基本は、効率的で使いやすい空間を作り出すことです。
以下では、住宅設計の際に考慮したい収納スペース「シューズクローク」「パントリー」「ファミリークローゼット」「ウォークインクローゼット」、そして「共用収納」について解説します。
1. シューズクローク
シューズクロークは、玄関に隣接して設置される収納スペースで、靴のみならずコートや傘、バッグなどの外出用品も収納できます。これにより、玄関をすっきりと保ち、家族の出入りをスムーズにすることができます。
シューズクロークは、ウォークインタイプとウォークスルータイプがあり、家族のライフスタイルや住宅の間口の大きさに対応して選択することが重要です。
2. パントリー
パントリーは、キッチン近くに設置される食材などを保管するためのスペースのことです。
買い置きの食材やストック品、大型調理器具を効率的に保管できるため、キッチンの使い勝手を大きく向上させます。
パントリーを設置する際は、換気や温度管理にも配慮が必要です。
3. ファミリークローゼット
ファミリークローゼットとは、家族の衣類や荷物などを一か所にまとめて収納できる大型のクローゼットのことです。
季節外の衣類や寝具、スポーツ用品など、様々なものを収納することができます。
ファミリークローゼットに家族が日常使う衣類やカバンなどを収納すれば、洗濯した衣類を寝室や子ども部屋まで運ぶ手間が省けます。
玄関やリビングの近くにファミリークローゼットを設設することで、仕事や学校から帰宅した際にコートやカバンをリビングのソファの上に置きっぱなしという問題が解決するでしょう。
4. ウォークインクローゼット
ウォークインクローゼットは、主に個人の衣類や小物類を収納するための広いスペースで、中に入って着替えができる点が特徴です。
5. 共用収納
共用収納は、リビングや図書館などのスペースに設置される、家族全員で使用する収納スペースです。
掃除用具、日用品や書類などを収納するのに適しています。
(2)推奨される収納率とは?
家の面積に対する収納率(全体の床面積に対して収納スペースが占める割合、収納率=収納面積÷総床面積×100)は、住みやすい家を設計するうえで重要な指標です。
一般的に、収納率の目安は10~15%程度が理想とされています。ただし、家族構成やライフスタイルによって適切な割合は異なるため、以下のポイントを考慮して調整することが重要です。
1. 収納率の目安
10%以下(最小限の収納):
ミニマリストや物が少ない生活を好む人に向いています。
ただし、収納スペースが不足する可能性が高く、生活が窮屈になることがあります。
10~15%(一般的な収納率):
標準的な家族構成(夫婦+子ども1~2人)に対応でき、十分な収納スペースを確保できます。
15~20%以上(収納が充実した家):
物が多い家庭や、趣味の道具・季節用品などを多く保有する人に適しています。
ただし、収納スペースが広すぎると生活空間が狭く感じられることがあります。
これらの収納スペースを適切に組み合わせ、家族のニーズに合わせて設計することで、整理整頓がしやすく、快適な住環境を実現することができます。
注文住宅では、床面積の12~15%程度を収納スペースとして確保することが推奨されていますが、具体的な計画は家族のライフスタイルや所有物の量に応じて柔軟に調整する必要があります。
(3)そのほか デットスペースを利用する
デッドスペース(無駄になりがちな空間)を活用することは、限られた住宅面積を有効に使い、収納力を劇的に高める「収納革命」の鍵となります。
このアプローチは、特に狭小住宅や収納スペースが不足している住宅において、暮らしやすさを向上させる効果があります。
以下に、デッドスペースを最大限に活用するためのアイデアを解説します。
1. ロフト収納
ロフト収納は、天井の高さを利用して作られる収納スペースです。通常の部屋の上部に設置され、梯子やはしごで上り下りします。ロフト収納は以下の特徴があります。
・季節外の衣類や使用頻度の低い物品の保管に適しています。
・部屋の床面積を犠牲にすることなく、収納スペースを確保できます。
・天井高が2.7m以上ある場合に設置が可能で、1.4m以上あれば立って作業ができます。
2. 階段下を使った収納
階段下のスペースは、しばしば見落とされがちですが、効果的な収納スペースとして活用できます。
・階段下に引き出しや扉付きの収納を設置することで、靴や掃除用具、季節の装飾品などを収納できます。
・ 階段の各段に引き出しを設置することで、さらなる収納スペースを確保できます。
3. 廊下壁面を使った収納
廊下の壁面も収納スペースとして活用可能です。
・廊下に薄型の収納棚を設置することで、本や小物を収納できます。
・壁面に取り付けるタイプの収納ユニットを使用することで、床面積を犠牲にすることなく収納スペースを確保できます。
4. 床下収納
床下収納は、床下のスペースを活用した収納方法です。
・床下収納は、主に1階の床下に設置されます。
・畳の下や床板を開けて使用する形式が一般的です。
・湿気対策として、防湿シートや換気システムの設置が重要です。
5. 収納付き家具の活用
収納付き家具を活用することで、クローゼットなどの固定の収納スペースがなくても、効果的に収納力を高めることができます。
・座面下に引き出しがある引き出し付きソファ。
・ベッドフレームに引き出しや収納スペースが組み込まれた収納付きベッド。
・扉や背板がない棚を活用することで、見せる収納としてインテリアの一部にもなるオープンラック。
デッドスペースを活用した収納とは、普段使われない空間を積極的に活用することで、収納率を向上させることです。
メリットは、物の所在が明確になり、片付けが楽になる点です。
必要なものを必要な場所に収納することで、効率的な生活が可能になります。
この生活を効率化した収納へのアプローチが今、見直されています。
設計段階からこれらのデッドスペースの有効利用を取り入れることで、効率的で暮らしやすい家を作ることができます。
(4)未来の収納 新しい収納の考え方とは
収納スペースについての新しい考え方は、「収納スペース」を単に「物をしまう場所」として考えるのではなく、生活全体を効率化し、快適さを向上させるシステムの一部として捉えることです。
つまり、「必要な場所の近くに必要な物がある」という考え方がこれからの住宅設計において重要になってきます。
この効率を重視した収納の考え方は、日常生活の動線や使用頻度を考慮し、物を適切な場所に配置することで生活の質を向上させます。
例えば、キッチン用品はキッチンの近くに、洗濯用品は洗濯室や脱衣所の近くに配置するなど、使う場所と収納場所を近づけることで日常生活の利便性を高めることができます。
また、前述した「デッドスペースの活用」も、収納効率化の好例と言えるでしょう。
さらに、これからの「収納のあり方」は以下ことが考えられます。
1. 収納のスマート化
収納スペースをスマート管理することで、家中の物を効率的に把握・利用できるようになります。
具体的には、収納管理アプリと連動することで、家中の物の位置を正確に把握し、必要な時にすぐ見つけることが可能です。
例えば、スマートフォンで「赤いセーター」と検索すると、そのセーターがどの収納スペースのどこにあるかを即座に教えてくれる仕組みです。
これにより、複数の収納スペースを一つの大きな収納システムとして効率的に管理できるようになります。
2. 外部サービスとの連携
外部サービスとの連携は、収納と様々なITサービスを統合する新しいアプローチです。
例えば、クローゼット内のアイテムをフリマアプリと連携させ、不要になった衣類を簡単に出品できるようにしたり、洗濯物を自動的にクリーニングサービスに出せるシステムを構築することなどが考えられます。
これらは、テクノロジーの進化と共に、より効率的で便利な生活空間を実現するでしょう。
3. 機能別分類に分けた設計
収納を「Cache」「Memory」「Storage」「Cloud」の4つのカテゴリーに分類することで、物の特性や使用頻度に応じた最適な収納方法が考えられます。
・Cache(キャッシュ): 日常的によく使う物を置く場所。
・Memory(メモリー): 思い出の品などを保管する場所。
・Storage(ストレージ): 季節物や長期保存品を置く場所。
・Cloud(クラウド): デジタルデータや外部サービスを利用した収納。
この分類により、効率的でわかりやすい収納システムを構築することができるでしょう。
4. 家族の成長に合わせた可変性のある収納設計
可変性のある収納設計とは、家族の成長や生活スタイルの変化に柔軟に対応できる収納システムを指します。
例えば、子ども部屋の収納を年齢や成長に応じて変更できるモジュール式の収納システムや、間仕切りを動かして収納スペースの大きさを調整できる可動式の収納壁などが考えられます。
これらの新しい考え方は、単に物を収納するだけでなく、生活全体をより効率的かつ快適にすることを目指しています。
テクノロジーの進化と共に、収納はより賢く、柔軟で、生活に密着したシステムへと進化していくことが期待されています。
まとめ
収納設計は、単なる物置としての機能を超え、生活の質を向上させる重要な要素となっています。
理想的な収納を実現するには、家族のライフスタイルに合わせた空間設計が不可欠です。また、シューズクロークやパントリー、ファミリークローゼットといった効果的な収納スペースの導入、デッドスペースの活用、さらにはスマート管理などの先進的なアプローチも有効です。
これらの知識を活用し、家族のライフスタイルに合わせた収納計画を立てることで、快適で効率的な住空間を実現できるでしょう。
参考:
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