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注文住宅省エネ住宅補助金

2023.08.17

家を建てるなら知っておきたい!長期優良住宅の魅力とデメリット

長期優良住宅制度は、高品質な住宅を築くための取り組みとして注目されています。
この制度は、耐震性や省エネ性などの基準を満たす優れた住宅を認定し、さまざまなメリットを提供しています。
一方、その手続きやコストなどデメリットとされる面もあります。
また、国交省は、2023年度3月末時点の長期優良住宅認定状況も公表しており、その推移からも注目度の高さが伺えます。

このブログでは、「長期優良住宅制度」の基本とそのメリット、デメリット、「長期優良住宅制度の認定状況」について詳しく解説します。

(1)長期優良住宅制度とは

国土交通省のパンフレットによると、長期優良住宅認定制度とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅の建築・維持保全に関する計画を「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定するものと書かれています。

つまり、長期優良住宅制度は、優れた耐震性能や断熱性能、省エネルギー性能を備えた住宅を認定し、その普及を促進することを目的したものと言えます。

この制度は、2009年より新築を対象とした認定が開始され、2016年からは既存住宅の増築・改築を対象とした認定も開始されました。
さらに、2022年10月1日より既存住宅についても、認定が開始されました。

長期優良住宅の基準には、耐震性や劣化対策、維持管理や更新のしやすさ、省エネルギー性などの認定基準となる項目があります。
では、具体的にどのような基準があるのか見ていきましょう。
以下は一戸建て住宅の場合の基準概要です。

1.劣化対策

数世代にわたり住宅の構造躯体が使用できること。
(劣化対策等級:等級3)

2.耐震性

極めて稀に発生する地震に対し、継続利用のための改修の容易化を図るため、損傷のレベルの低減を図ること。
(耐震等級:等級2、3)

3.省エネルギー性

必要な断熱性能等の省エネルギー性能が確保されていること。
(断熱等性能等級:等級5で一次エネルギー消費量等級:等級3)

4.維持管理・更新の容易性

構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うために必要な措置が講じられていること。
(維持管理対策等級:等級3)

5.居住環境

良好な景観の形成その他の地域における居住環境の維持及び向上に配慮されたものであること。

6.住戸面積

良好な居住水準を確保するために必要な規模を有すること。
一戸建ての住宅:75㎡

7.維持保全計画

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が策定されていること。

8.災害配慮

自然災害による被害の発生の防止又は軽減に配慮されたものであること。

(2)長期優良住宅認定のメリットとデメリット

長期優良住宅(新築)の認定を受けた住宅は、補助金、住宅ローンの金利引き下げ、税の特例や地震保険料の割引等を受けることが大きなメリットです。
デメリットとしては、建築コストが割高になることや申請、認定まで時間とコストがかかる点です。ここではメリット、デメリットを解説します。

【長期優良住宅のメリット】

メリット1:優れた品質と性能のある家に住める

長期優良住宅は、耐震性能や断熱性能、省エネルギー性能が優れています。
これにより、地震や気候条件に強く、低エネルギーで快適な住環境に暮らすことが出来ます。
また、世帯ごとに家を建て替える(スクラップ&ビルド)などの必要がなくなり、地球環境に優しく、経済的にも余裕が生まれます。

メリット2:地域型グリーン化事業補助金を受けることができる

「地域型住宅グリーン化事業」は、認定を受けた長期優良住宅が利用できる制度です。
制度の利用には、国土交通省から採択された中小工務店が建てることや、原則として地域材を利用することなどの要件があり、要件を満たすと補助が受けられます。
補助金は住宅一戸あたり、最大140万円まで支援されます。

メリット3:住宅ローンの金利が引き下げられる

長期優良住宅は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携した住宅ローンである「フラット35」を利用する際に金利優遇が受けられます。
・フラット35-S(金利Aプラン)及び維持保全型
当初5年間:年0.5%の引き下げ
6年目~10年目:年0.25%の引き下げ

メリット4:様々な税制控除や減税を受けられる

・住宅ローン減税

住宅ローン減税は控除対象限度額が5,000万円に引き上げられました。
(年末ローン残高の0.7%が所得税・住民税から13年間控除されます。)

・不動産取得税

不動産取得税とは、住宅・土地の購入時に支払う税金です。
長期優良住宅の場合は1300万円まで控除額されます。

・登録免許税

登録免許税とは、住宅・土地の購入時や新築時に、所有権を登記する際に払う税金です。
長期優良住宅なら、保存登記で0.1%、移転登記0.2%と税率の引き下げが受けられます。

・固定資産税

固定資産税とは、住宅・土地の所有者が支払う税金です。
固定資産税は新築時に税額が1/2に減額される減税措置が受けられます。減額される期間は戸建ての一般住宅は3年間ですが、長期優良住宅なら5年間、税額が1/2に減額されます。

メリット5:地震保険料の割引

長期優良住宅の認定を受け、所定の書類を保険会社に提出することで地震保険料の割引きが受けられます。
耐震等級割引と免震等級があり、耐震等級2なら30%、耐震等級3なら50%の割引率が適用されます。
免震建築物の場合は50%の割引率が適用されます。

メリット6:リセールバリューが向上する

長期優良住宅は高品質な住宅として認知されており、将来的にはリセールバリュー(再販価値)の向上が期待できます。
将来住宅を売却することになったとしても「長期優良住宅であること」がアピールポイントになります。
耐震性能、省エネ性能など一定の要件を満たしている長期優良住宅は買い手の安心材料になり、買い手の安心感に繋がり、有利な条件で取引を行うことができる可能性があります。

【長期優良住宅のデメリット】

長期優良住宅制度には多くのメリットがありますが、いくつかのデメリットもあります。
以下にまとめました。

デメリット1:着工まで時間がかかる場合がある

長期優良住宅で建築を着工する場合、一般の住宅より1週間から1カ月以上、時間がかかる場合があります。
これは、所管行政庁(建築確認申請を行う公共団体)による長期優良住宅の認定をもらってから着工する必要があるためです。
また、所管行政庁の審査・申請のために費用がかかります。
申請費用の目安としては、設計図書類の作成で20万円程度、審査のため手数料5~6万円程度必要です。
実際は、ハウスメーカーや工務店に申請書類を作成してもらうため、この手数料を含めると、合計で20~30万円程度かかるのが一般的です。

デメリット2:建築コストの上昇

長期優良住宅の基準を満たすためには、構造部材や住宅設備はグレードが高いものを選ぶ必要があります。
そのため、通常の住宅よりも建築コストが高くなる可能性があります。
建築コスト上昇の要因は、耐震性や居住の快適性など、先に紹介した8項目の基準を満たさなければならないため、材質や建築構造のグレードが高まり、さらに工期も長くなり、人件費も割高となるのです。

デメリット3:プランの柔軟性が制約される

長期優良住宅の基準を満たすためには、一定の設計・施工要件を遵守する必要があります。
それら制約から、建築計画やデザインの柔軟性や個々の要望や希望に沿った完全に自由な設計が難しい場合があります。

デメリット4:認定後も定期的メンテナンス履歴の作成・保存が必要

長期優良住宅は建築・入居後も定期点検が必要です。
認定基準には維持保全も含まれているため、建築前に提出した「維持保全計画」に従って住宅を点検し、必要に応じて修繕しなければなりません。
維持保全を怠った場合、認定を取り消されることもあります。

長期優良住宅は高品質な住宅として認定されるのですから、その状態を維持するためには定期的なメンテナンスや修繕が必要でしょう。
修繕にはコストがかかりますが、それらは、孫子の代まで快適で安全な住宅を維持するためのメンテナンスであるため、当初の目的を考えれば、必要経費でもあります。
また、メンテナンスをしっかり行っていれば、もし、売却することになっても住宅は高い価格で売れることでしょう。

(3)長期優良住宅の認定状況について(令和5年3月末時点)

国交省の6月30日のプレスリリースによると、長期優良住宅の新築戸建ての着工戸数に対する割合が29.3%となったと公表されています。
2022年度の新築一戸建て認定実績は11万5,509戸、共同住宅等の累計は2,527戸となっています。
長期優良住宅が新設一戸建て住宅着工戸数に占める割合は増加傾向にあり、2022年度は前年度比1.5ポイント増の29.3%となり、2023年度には占める割合が30%を超えると思われます。
下図は2019年~2022年までの長期優良住宅認定実績と()内は新築一戸建て住宅に占める長期優良住宅の割合の推移を示したものです。

図は「国土交通省:長期優良住宅の認定状況について(令和5年3月末時点)」より作成

まとめ

長期優良住宅制度とは住宅の品質向上を目指す制度であり、耐震、断熱、省エネ性能など基準をクリアすることで、将来的にも快適で経済的な住空間を手に入れることができます。
ここではメリット、デメリットを中心に見てきましたが、相対的にはデメリットよりメリットの方が大きいのではないかと思いました。
注文住宅を建てる際に、長期優良住宅制度を活用するかどうかは自身のニーズや予算に合った選択が必要です。その為にも、建築家や住宅関連企業のアドバイスを受けると良いでしょう。

参考: