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注文住宅省エネ住宅補助金

2023.08.26

快適な住まいを手に入れる断熱材の魅力と補助金活用法

2022年6月、建築物省エネ法の改正法が成立しました。
これは、すべての新築住宅・非住宅に省エネ基準「断熱等級4」の適合を義務付け、2025年以降はこれを下回る建物は新たに建てられなくなるというものです。
現在の新築物件の8割はこの基準を超えているとされていますが、既存住宅においては、この「断熱等級4」を満たしたものは、12~13%と低くなっています。

「断熱等級4」とは、壁や天井だけでなく、開口部も断熱を行うことが必要とされます。
具体的には、グラスウールなどの断熱材を屋根裏に20㎝、壁に10cm程度、サッシはアルミサッシのペアガラスを使うことで実現できますが、本格的な断熱住宅(夏涼しく、冬暖かい家)にするには、断熱等級5以上の性能が必要となります。
このブログでは、断熱材の断熱材料と断熱性能基準に加え、活用できる住宅支援関連の補助金も解説します。

(1)断熱材、熱誘導率とは

断熱材の写真

断熱材とは、室内と室外の熱の移動を遮断し、室外の温度が室内に伝わりにくくする素材のことです。
わかりやすく言えば、熱の移動(伝導)を遅らせる素材のことです。
断熱材は、建物内部の温度を外部の気温から遮断し、熱の損失や侵入を最小限に抑える役割を果たします。
この断熱素材を建物の外部に面する床や壁、天井や屋根などに貼り付けることで冷気や熱の伝達を遅らせ、暑さや寒さを防ぐことができるわけです。

そして、断熱材は建物内部の隙間を埋めるため、気密性が高まります。気密性が高まることによって屋内と外部の空気の流れが妨げられ、結果として室内の温度を快適に保つ「夏涼しく、冬温かい、省エネ住宅」が実現できるのです。
家をしっかり、断熱するには窓ガラスの性能も重要ですが、今回はその説明は割愛します。

断熱には、熱伝導率数値の違いでその断熱素材を優劣を比較することができます。「熱伝導」とは、物質の移動無しに、熱が高温から低温へ運ばれる現象のことです。
この熱移動(=熱伝導)のしやすさを数値化したものが「熱伝導率」です。
熱伝導率の単位は「W/m・K」で表され、この値が大きいほど、熱伝導性が高くなります。値が低いほど断熱力のある素材ということになります。

 

(2)主な断熱材、その種類、特徴、熱誘導率

1.グラスウール(ガラスウール)

石英やリサイクルガラスから作られる繊維状の材料で、断熱性に優れています。耐火性もあり、広く使用されています。
熱伝導率:0.033~0.050

2.ロックウール(岩石ウール)

石英や玄武岩から作られる繊維状の材料で、グラスウールと似た特性を持ちます。高温にも耐える性能があり、耐火性や音響吸音性にも優れています。
熱伝導率:0.035~0.047

3.セルロースファイバー

リサイクル紙や木材パルプから作られる繊維状の材料で、環境にやさしい選択肢です。価格は高いが防音効果があります。
断熱性が高く、空気の流れを防ぐための充填材として使用されます。
熱伝導率:0.038~0.040

4.羊毛(ウールブレス)

原料となる羊毛に、体に優しい防虫処理を施したもので、その防虫効果は半永久的に継続するとも言われます。
特徴は羊毛特有の高い調湿力と断熱性です。自ら湿気を吸湿・放湿し、空気をためこんで断熱します。
熱伝導率:0.039~0.049

5.炭化コルク

新聞紙や段ボール、おがくずなどの天然木質系原料を綿状にした物。
非常にエコで断熱性能に優れています。
吹き付けていく充填工法で施工するため、隙間を作らず、高い気密性を確保できます。
素材自体が本来持つ調湿性能が高く、防虫効果もあるとされています。
熱伝導率:0.037~0.045

6.ポリスチレンフォーム

ポリスチレン樹脂を発泡成型して作られた断熱材。
断熱性、耐水性に優れており、施工しやすいが火や熱に弱いのが難点。
熱伝導率:0.024~0.043

7.硬質ウレタンフォーム

発泡ポリウレタンを用いた断熱材で、優れた断熱性能を持ちます。
薄くて軽量なため、狭いスペースや特殊な形状にも適しています。
施工しやすいが、万一燃えると有毒ガスが発生します。
熱伝導率:0.023~0.040

8.フェノールフォーム

フェノールフォームは熱伝導率がとても低いのが特徴です。
フェノール樹脂に発泡剤や硬化剤を加えて成形しており、長期的に安定して断熱性能を保ちます。
石油系の中では防火性に優れ、炎を当てても煙や有害ガスをほとんど発生しません。形状はボード状のほか、金属板や石膏ボードなどとの複合パネルもあります。
熱伝導率:0.019~0.036

参考:主な断熱材9種類を比較!メリットやデメリット・おすすめのメーカー品は?

(3)長期優良住宅などの断熱性能基準とは

建築物省エネ法の改正法の断熱基準は「断熱等級4」です。
さらに20222年10月より長期優良住宅の断熱基準は「断熱等級5」と一段高くなっています。
また、ハウスメーカー等では、すでに断熱等級5、又は等級6・7の基準で施工しているところも多くあります。「長期優良住宅」認定制度についてはこちらのトピックス記事「家を建てるなら知っておきたい!長期優良住宅の魅力とデメリット」でも解説しています。ここでは、この断熱等級(等級が高いいほど断熱性の高い家と言えます)の内容について解説します。
また、断熱性能を示すUA値(外皮平均熱貫流率)も参考まで記載しました。

※UA値とは、外皮(屋根や外壁、床、窓やドア等の開口部など建物の表面)を介して住宅全体の熱がどれくらい逃げやすいかを示す数値です。熱の“逃げやすさ”なので、UA値が小さいほど熱が逃げにくく、断熱性能の高い家であると言えます。

【断熱等性能等級4】

  • 概要:「次世代省エネルギー基準」
    壁や天井だけでなく、開口部(窓や玄関ドア)なども断熱が必要となる。 
  • UA値:0.87
  • 設定年度:1999年(平成11年)

【断熱等性能等級5】

  • 概要:ZEH
    断熱等性能等級4より、上位の「ZEH(ゼッチ)基準」相当。
    断熱材や窓ガラスなどは、断熱等性能等級4以上に高いレベルの断熱が必要となる。
  • UA値:0.6
  • 設定年度:2022年4月1日

【断熱等性能等級6】

  • 概要:HEAT20 G2
    暖冷房にかかる一次エネルギー消費量がおおむね30%削減可能なレベルの性能。
  • UA値:0.46
  • 設定年度:2022年10月1日

【断熱等性能等級7】

  • 概要:HEAT20 G3
    暖冷房にかかる一次エネルギー消費量がおおむね40%削減可能なレベルの性能。
  • UA値:0.26
  • 設定年度:2022年10月1日

(4)新築、改築で活用できる断熱関連の補助金

日本は海外に比べ、住宅における断熱性能のについては遅れています。G7諸外国の中で断熱性能が義務化されていないのは、日本だけです。
アジアでも、中国や韓国では既に義務化されています。

多くの先進国では、温暖化対策の一環で、省エネや脱炭素に優れた住宅を造っていこうという潮流があり、新築住宅などの高断熱化が義務化されています。
日本も先進国として、断熱性能の高い家づくり、省エネ化を加速するために、補助金制度を拡充しています。ここでは、国が支援する新築、リフォームの際に断熱性能を高めることで支援される補助金の概略を紹介します。

1.既存住宅における断熱リフォーム支援事業

この支援事業は、高性能建材(断熱材・窓・ガラス・ドア・LED照明など)を使用して断熱リフォームをした場合に、一定の条件を満たすことで補助金が受けられる環境省の補助事業です。
対象は、断熱リフォーム(天井・床・窓・外壁)や家庭用蓄電システムの設置などにかかる費用です。補助金額は施工費用の3分の1(上限は15~120万円)です。
【公募期間】
2回目:令和5年8月10日(終了)
3回目:令和5年9月4日~令和5年12月8日

参考URL:【全国対象】既存住宅における断熱リフォーム支援事業

2.次世代省エネ建材支援事業

この支援事業は、最新の高性能な建材の普及をめざしている事業で、経済産業省が運営する補助金制度です。具体的には、高性能断熱材や蓄熱・調湿材などの「次世代省エネ建材」を使って既存の住宅をリフォームをする場合に補助金を受け取ることができます。新築案件はこの補助金の対象外ですので注意してください。
対象は、外壁・内壁・窓を指定の高断熱化品(断熱等級6・7に対応する製品)へ交換にかかる費用です。補助金は、費用の2分の1で、上限額は300万円となっています。北海道や青森といった一部の地域では400万円が上限です。
【公募期間】
1次募集は受付を終了し、2次募集を2023年9月4日から受付開始。

参考URL:2023省エネ改修(次世代建材)補助金(400万円) の早わかり解説 | 次世代省エネ建材の実証支援事業の概要

3.住宅省エネ2023キャンペーン

このキャンペーンは「先進的窓リノベ事業」、「給湯省エネ事業」、「こどもエコすまい支援事業」の3つの補助金の総称です。
申請期間は2023年3月31日から2023年12月末までが共通事項で、それぞれ補助内容が異なります。
ここでは、断熱性能に関係する「先進的窓リノベ事業」と「こどもエコすまい支援事業」について見ていきましょう。

【先進的窓リノベ事業】

この事業は、既存住宅の窓を省エネ効果の高い断熱窓に改修する費用に対して交付される補助金事業です。
この事業により、エネルギー価格高騰への対応(冷暖房費負担の軽減)や、CO2排出量削減への貢献、ZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保への貢献を目的としています。
対象は既存住宅における断熱窓への改修窓(ガラス・サッシ)の断熱改修工事となります。
補助金額は、補助対象工事の内容に応じて、改修費用の1/2相当額、上限200万円となっています。

参考URL:先進的窓リノベ事業

【こどもエコすまい支援事業】

この事業は、子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年カーボンニュートラルの実現を図ることを目的としたものです。
対象となるのは、子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれかの場合で住宅においは高い省エネ性能ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)の基準を満たす必要がありあります。

補助金は、新築の補助金は1戸当たり最大100万円、リフォームは最大60万円となっています。
現在この支援事業は人気が高く、2023年8月24日時点での申請額は85%に達しています。

参考URL:こどもエコすまい支援事業


まとめ

断熱性能の高い家を建てることのメリットは、冷暖房効率が向上することはもちろんのこと、空調設備のない部屋でも一定の快適性が保たれます。
つまり、冷暖房費が削減され省エネにつながります。
さらに、室内の温度差が少なければ結露も発生しにくく、カビやダニの発生を防ぐ効果も期待できます。
国の補助金を活用して、快適で健康的な生活を手に入れましょう。