
「インドネシアの住宅探訪」
人気の間取り・価格・市場動向を完全ガイド
東南アジアのなかで急成長を続けるインドネシアでは、都市化と若年層の増加により住宅需要が爆発的に高まっています。
「インドネシアではどんな間取りが主流なのか?」「日本の住宅と何が違うのか?」「今、どんな住宅が売れているのか?」。
そんな疑問を持つ方に、今回のブログではインドネシアの最新の住宅・不動産事情から、インドネシア住宅ならではのデザイン・間取りの特徴までを網羅的に解説します。
政府の大規模住宅政策や市場の二極化など背景まで理解できるため、海外住宅に興味がある方はもちろん、住宅関連の仕事・ブログ執筆にも役立つ内容になっています。
(1)インドネシアの住宅・不動産の最新事情
現在、インドネシアは東南アジア最大級の人口を抱える成長市場であり、住宅・不動産分野でも力強い拡大が続いています。
特に都市化の加速と若年層の住宅需要の増大を背景に、市場構造そのものが大きく変化しています。
■市場規模と成長見通し
調査会社「Mordor Intelligence」によると、インドネシアの不動産市場規模は2024年に647.8億米ドル(約10兆円)に達し、2029年には859.7億米ドル(約13.3兆円)へ拡大する見通しです。
年平均成長率(CAGR)は5.82%とされ、今後も安定した成長が期待されています。
こうした成長の背景には、約2.7~2.8億人の人口規模、急速な都市化、そして初めて住宅を購入する若い世代の存在があります。
人口構造そのものが、継続的な住宅需要のベースとなっているようです。
■都市化の急進と住宅不足
2024年12月1日付の「日本経済新聞」によれば、インドネシアの首都ジャカルタ首都圏(人口約4,200万人)は、世界最大の首都圏規模に達したと報じられています。
若者層の多さに加え、地方から都市部への人口流入が止まらず、ジャカルタ首都圏や第2都市スラバヤなどで住宅需要が急拡大し、供給が追いつかず、慢性的な住宅不足が大きな課題となっています。
■政府による大規模住宅政策
住宅不足を解消すべく、政府は「Three Million Homes(年間300万戸建設)」都市部100万戸・農村部200万戸の住宅供給という大型政策を推進しています。
特にこの政策は、低所得世帯向けの住宅供給を強化する内容です。
さらに2024年11月には法整備が進み、地方政府に対して、土地取得税や建築許認可手数料の免除を求める方針が示され、住宅供給を加速させる基盤が整いつつあります。
■住宅市場の需要構造は小・中規模住宅が主流に
インドネシアの住宅市場では、現在、小型~中型の戸建住宅が需要の中心 になっています。特に、18~34歳の若年層が購入層の46.8%を占めている
点が大きな特徴です。
一方、中~上級向けの大きめの住宅(ミドル・ラージサイズ)は伸び悩み、2025年第3四半期の住宅価格指数(RPPI)は前年同期比 0.84%増にとどまっています。
これは、高価な住宅よりも、手頃で小回りの利く住宅を求める層が市場の中心になっていることを示しています。
集合住宅(アパート・マンション)は供給過多となっています。
特にジャカルタではアパートの供給が過剰となり、販売が低迷し、戸建て需要が強いのに対し、集合住宅は在庫調整の段階に入っています。
■投資市場の注目:バリ島が急成長
インドネシア不動産市場の中でも、近年最も注目されているのが独自の文化と自然を持つバリ島です。
現在、バリ島は、
・コロナ後の観光需要の急回復
・リモートワークの普及
・デジタルノマドの増加
これらが追い風となり、バリ島の不動産価格は過去5年間で平均年7%の上昇が続いています。
海外投資家によるヴィラ購入も増え、国際的な不動産投資のホットスポットとしての地位を確立しています。
■まとめ:成長する住宅・不動産事情
インドネシアの住宅・不動産市場は、
・若年層の住宅需要の高さ
・都市化による住宅不足
・政府による供給促進政策
といった構造的要因で、今後も拡大余地が大きい市場といえます。
一方で、大型住宅の伸び悩み、集合住宅の供給過多、地域による市場の二極化(都市部/リゾート地)など、需要が細分化している点も押さえておく必要があります。
インドネシア不動産は、成長市場でありながら、地域ごとの特性が明確に表れている点がポイントと言えます。
(2)インドネシア住宅の間取りとデザインの特徴
■インドネシア住宅のタイプと市場背景
インドネシアには、日本と比べても多様な住宅タイプが存在します。
主な種類は以下の7つです。
土地付き住宅(Rumah Tapak):
最も一般的な戸建て住宅。土地と建物をセットで所有する形で、需要の中心。
クラスターハウジング(Cluster):
ゲートで囲まれた住宅団地内の戸建て。セキュリティが強く、中?高所得者層に人気。
独立型一戸建て(Rumah Tunggal):
完全な単独住宅。別荘ニーズも高く、山間部や海沿いにも多い。
カップリングハウス(Rumah Kopel):
1棟を左右で二分した「連棟式住宅」。土地効率の良さから都市部で多く採用。
アパートメント(Apartmen):
日本のマンションに近い都市型集合住宅。プールやジムなどの共用施設が充実。
コンドミニアム(Kondotel):
ホテル機能+住居機能を兼ね備えた高級タイプ。投資用も多い。
コス(Kos):
シェアハウスとアパートの間のような簡易賃貸住宅。若者・単身者に広く普及。
特筆すべきは、インドネシアの持ち家率は83.99%と非常に高い点です。
一見すると住宅取得は容易に思えますが、現地の所得水準や金利環境を踏まえると必ずしもそうではありません。
・ジャカルタ市民の平均年収:約3,708万IDR(約37万円)
・全国的な戸建て(100㎡)の価格:2.5~3.5億IDR(約230万~320万円)
住宅価格は年収の約7~9倍に相当し、「世界でも住宅取得が難しい国のひとつ」といわれる理由がここにあります。
特にジャカルタやバリの住宅価格は地方都市より突出して高く、一般市民にはハードルが高い状況です。
■典型的なインドネシア住宅の間取りの特徴
中~高所得層に人気の「クラスターハウジング系一戸建て」を例に、特徴的な間取りを整理します。
①オープンプラン(LDK一体型)
玄関を入るとすぐにリビング・ダイニング・キッチンが広くつながる、間仕切りの少ないオープンプランが一般的。
空気の流れを妨げず、熱帯地域の気候に適した合理的な構成です。
② 小さなバックキッチン&サービスヤード
メインキッチンの背面に、
・小さなキッチン(ダーティキッチン)
・ユーティリティスペース
・サービスヤード(洗濯・物干し)
が配置されることが多く、外部に匂いや煙を逃がす工夫がされています。
③ 標準は3ベッドルーム+2バス
一般的な構成は以下の通り。
・主寝室+子ども室2室
・バスルーム:主寝室専用1つ+共用1つ(計2つ)
家族構成に合わせた「コンパクトなファミリー型」が主流です。
④ 庭は最小限
敷地が小さいため、庭はほとんど前面の小さなフロントヤードのみ。
カーポートが大部分を占め、日本の都市部よりもさらに小規模な外部空間になります。
■気候・文化を反映した建築デザイン
①三角屋根(急勾配)
熱帯雨林気候における大雨対策として、雨水を流しやすい急勾配の三角屋根が主流。
同時に、屋根裏に熱を逃がし、室内温度上昇を抑える役割もあります。
②大きな窓・高天井
・光を多く取り込み、室内を明るく保つ
・自然風を取り込み、エアコンに頼りすぎない暮らしを実現
・天井を高くして熱気を上部に逃がす
という、熱帯ならではの「パッシブデザイン」が活かされています。
③インダストリアルデザインの人気
木材・金属・アルミ素材を「無加工で見せる」インダストリアルスタイルがトレンド。
素朴さとコスト削減が両立し、若い世代の住宅購入者に支持されています。
■まとめ:インドネシア住宅が教えてくれる「これからの住まいのヒント」
インドネシアの住宅には、気候や文化に合わせて合理化された設計が多く、
「日常生活の快適さ」を優先した間取りの考え方が随所に現れています。
特に注目すべきは次の3点です。
①「空気の流れ」を最優先する空間設計
省エネやサステナビリティの観点でも、日本住宅が今後取り入れるべき重要な視点。
②コンパクトながら生活動線を明確に分ける間取り
オープンプラン+バックキッチンという組み合わせは、狭小住宅の参考にもなります。
③コスパとデザイン性の両立
インダストリアルデザインを「建材の素材感」として活用する方法は、
日本でもローコスト住宅のヒントになります。
日本とは気候も文化も異なるものの、「豊かに暮らすための工夫」という観点では、学べる点の多い住宅文化だと言えるでしょう。
参考:
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