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住宅設計住宅・不動産関連海外の住宅間取り

2024.01.12

「中国の住宅探訪」住宅事情、種類、間取りの特徴

「中国の住宅探訪」
住宅事情、種類、間取りの特徴

中国は、世界で最も人口の多い国であり、経済発展や都市化の影響で、住宅にも大きな変化が起きています。中国の住宅は、どのような種類があるのでしょうか?
また、中国の住宅の間取りは、どのような特徴があるのでしょうか?
このブログでは、中国の住宅事情、中国の住宅の種類や高層マンションの間取りの特徴について、詳しく解説します。
中国の住宅に関心のある方や、中国に住むことを考えている方にとって、有益で興味深い情報を提供できると思います。
中国の住宅探訪に一緒に出かけましょう。

(1)中国の住宅事情

2023年末の中国における住宅市場は低迷が続いていると報道されています。
具体的には「2023年1~11月では前年同期比10.9%減、住宅価格は11月で前年同月比1.5%下落した。」となっています。
低迷の要因としては、中国政府が不動産市場の過熱を抑制するために、2021年以降、不動産融資の規制を強化してきたことにより(ニュースでも話題になりましたが)、不動産デベロッパーの資金繰りが困難(恒大集団が債務不履行など)となり、住宅の供給が減少したためです。

中国では、都市部の土地は国が所有しており、農村部は農民委員会の集団所有しています。国民には土地を与えられているわけではないので、日本のように土地付きに一軒家にこだわりありません。
その為、中国ではマンションを購入する割合いが高くなり、持ち家率も70%と高くなっています。
中国では結婚と同時に家も持つことが社会的通念として定着しています。

また、中国では、都市部と地方部では大きな格差があることも事実です。
中国の北京、上海など都市部は経済発展に伴い、住宅価格が高騰しましたが、地方では経済発展が遅れているため価格が比較的安価となっているようです。


(2)中国の高層マンションの間取りの特徴

中国の高層マンション

中国の住宅の種類には、「集合住宅」、「戸建住宅」、「保障性住宅」があります。

中国の住宅の大部分を占める「集合住宅」は、高層、低層マンション、アパートを指します。
集合住宅は、建物内に駐車場や緑地帯が整備されていることが多く、セキュリティ面でも安心です。
また、都市部では、商業施設や公共施設が近くにあるため、生活利便性が高いというメリットがあります。

都市部では高級住宅街や郊外エリアにあり、地方部では、農村部に多く見られるのが「戸建住宅」です。
戸建住宅は、プライバシーが守られ、家族で広々と暮らせるというメリットがあります。また、庭や車庫が付いているため、生活スタイルに合わせてカスタマイズできるのも魅力です。


「保障性住宅」は、中国政府が低所得者向けに提供している住宅で分譲型は
経済適用房、限価房、動遷房の3種類に分類されています。
保障性住宅は、低所得者世帯の住宅確保に貢献していますが、都市部では需要に対して供給が追いついていない現状があります。

それでは、中国の高層マンションを例にその間取りの特徴を見ていきましょう。

中国のマンション間取り図

特徴1:中国の間取りは単室が一般的

中国の間取りは壁で仕切れらたや単室の配置が多いのが特徴です。キッチンはLDKではなく独立していたり、トイレとシャワーが一体化してして壁に仕切られ、全体的にスペースが狭く感じられます。

特徴2:玄関がない

中国人には靴を脱ぐという習慣がないため、日本のように段差のある玄関がありません。
ドアを開けるとそのままリビングとなっている家は少なくありません。


特徴3:LDKが少ない

中国では日本のダイニングキッチン、リビングダイニングキッチン等キッチンと食べるところが一体化した間取りはあまりありません。
それは、中華料理が油っぽいからです。油のにおいや油汚れで、リビングやキッチンの掃除が大変になります。


特徴4:お風呂がない

図面を見ると、中国の家には浴室らしきものがなく、洗面所とトイレとシャワーが一体型となっています。
日本では、ユニットバスと言っても浴槽は約半分程度はありますが、中国の家はシャワーが設置されている家庭がほとんどのようです。
これは、中国では日本のようにお風呂にゆったり浸かってリラックスする入浴の習慣がない為です。

特徴5:ベランダがない

中国のマンションには日本のようにベランダ、バルコニーがない場合が多いようだ。バルコニーは防犯の為の鉄格子が窓に設置されていたりしています。
バルコニーやベランダのかわりに室内にバルコニーがあり、そこに洗濯物などを干しています。

 

まとめ

中国の住宅事情は多様で、都市と地方で価格や特徴に大きな差があります。中国では現在は政府の規制などにより不動産市場は低迷しています。
主な住宅タイプは集合住宅、戸建住宅、保障性住宅であり、中国都市部では高層マンションが主流です。
高層マンションの特徴として、単室レイアウト、玄関のない入口、LDKの少なさ、お風呂がない、ベランダの不在が挙げられます。
これらの特徴は、古来からの中国の文化や生活習慣がデザインに反映されていることが分かります。

参考:

図面参考:「海外の間取りの表記は日本と違う」より作図しました。