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住宅・不動産関連住宅ローン

2025.11.07

【2025年11月最新版】インフレ・賃上げ時代の住宅ローン適応術

【2025年11月最新版】
インフレ・賃上げ時代の住宅ローン適応術

 

「住宅ローンの金利、これからどうなるの?」ーいま多くの住宅購入希望者が抱える最大の疑問です。
2024年以降、日銀の政策転換とインフレ進行により、長く続いた“超低金利時代”は幕を閉じ、住宅ローン金利は上昇基調に入りました。
今回のブログでは、この1年で住宅ローンは何が起きたのか、なぜ金利が上がっているのか、そしてこれからどう備えるべきかをわかりやすく解説します。
さらに、2025年11月時点の主要銀行(金利比較・タイプ別の特徴)を最新データをまとめました。
「変動にするか、固定にするか?」「借り換えは今がチャンスか?」、一読いただければ、読後には、自分に最適な判断のヒントが得られる内容となっています。

(1)住宅ローン金利の上昇が続く理由:この1年で何が起きたのか?

【1】金利上昇への転換点:超低金利時代の終わり

この1年(2024年後半~2025年現在)は、日本の金融政策と世界経済の変化が重なり、住宅ローン金利が「超低金利時代」から「上昇基調」へと転換した重要な年でした。

■金利上昇の主な流れ

・2024年3月:日銀がマイナス金利政策および長短金利操作(YCC)を終了。
・2024年7月:追加利上げを実施し、政策金利と長期金利の誘導目標を引き上げ。
・2025年1月:再び0.25%の利上げが行われ、政策金利はおよそ0.5%に到達。

この一連の動きにより、2025年春以降は新規の変動金利型住宅ローンが上昇。
さらに7月以降には既存ローンの返済額にも上昇の波が広がりました。
同時期、10年国債利回りが一時1.6%まで上昇し、それに連動して10年・35年固定金利も引き上げられています。

実際の例として、2025年10月にはソニー銀行は0.997%(前月比+0.10%)、楽天銀行は1.002%(前月比+0.01%)へ引き上げられました。
このように、金利上昇は段階的かつ持続的に進んでいます。

【2】金利上昇の主な3つの背景

■日本銀行の金融政策転換

約8年間続いたマイナス金利政策が2024年3月に解除され、超低金利時代が実質的に終了しました。
これにより、短期金利(=変動金利の基準)が上昇し、さらにYCC(イールドカーブ・コントロール)の撤廃で長期金利も上がりやすい環境が整いました。
日銀は「物価上昇が持続的かつ安定的になることを確認し、段階的に金利を引き上げる」方針を示しており、市場も今後の追加利上げを織り込み始めています。

■インフレと賃金上昇の継続

円安の進行や原材料・エネルギー価格の高騰に加え、人手不足による賃金上昇が続いています。
今年、2025年春闘では大幅な賃上げが実現し、家計の購買力が上がったことで物価上昇(インフレ)をさらに押し上げる要因となりました。
日銀はこの「持続的インフレ」を抑えるために金利を引き上げる方向にあり、結果として住宅ローン金利にも波及しています。

■海外金利の影響と円安の進行

アメリカをはじめとする主要国がインフレ抑制のため利上げを続けたことで、日米金利差が拡大しました。
その結果、円安が進み、輸入物価が上昇。
この円安が国内インフレを加速させ、日銀に追加利上げを促す間接的な要因となっています。
日本の長期金利は海外市場の動向に大きく影響を受けやすく、グローバルな金利上昇圧力が日本国内にも波及している状況です。

【3】金融機関・専門家の見方:上昇傾向は当面続く

多くの金融専門機関は、固定金利型・長期固定型の住宅ローン金利は上昇傾向が続くと見ています。
変動金利は依然として低水準を維持していますが、物価上昇や賃金上昇が続けば、今後ゆるやかに上昇する可能性が高いと予測されています。

したがって、住宅購入や借り換えを検討する際は、以下の3点を重視すべきです。

  • 金利が上がる前に行動するタイミングを見極める
  • 固定金利や期間固定への転換も選択肢に入れる
  • 長期的な金利見通しを踏まえた返済計画を立てる

また、2025年10月の金融政策決定会合では、エコノミストの半数が年内(12月)での追加利上げを予想しました。
ただし、新政権発足直後ということもあり、短期的には慎重姿勢が続くと考えられています。

【4】まとめ:金利上昇は「不安」ではなく「新しい基準」

この1年の変化は、「異常な低金利が続いた時代の終焉」と言えるでしょう。
ただし、金利上昇は必ずしも悪いことではなく、経済の健全化と物価・賃金の正常な成長の裏返しでもあるのです。
今後は、金利上昇を「不安」ではなく「新しい金利環境への適応」として受け止めることが重要です。
住宅ローンを検討する際には、金利そのものよりも、「どんな家計設計で上昇リスクに備えるか」が問われる時代になったと言えるでしょう。

(2)住宅ローン金利の行方と賢い銀行選び:2025年の上昇局面にどう備えるか

【1】マイナス金利解除後の動き:上昇基調が続く住宅ローン市場

2024年3月の日銀によるマイナス金利解除以降、住宅ローン市場では「金利上昇」への対応が最大の焦点となっています。
特に固定金利は上昇傾向が続き、長らく低水準を維持していた変動金利も一部の銀行で引き上げが見られるなど、銀行ごとに戦略の違いが鮮明になっています。

以下は、2025年11月時点の主な銀行の金利状況です。

●三菱UFJ銀行:

【変動金利】0.595%~
【10年固定 】 2.17%~
【全期間固定】約2.66%~

●みずほ銀行:

【変動金利】0.775%~
【全期間固定】約2.69%~

●三井住友銀行:

【変動金利】0.595%~
【10年固定 】 2.20%~

●楽天銀行 :

【変動金利】年約0.6%~
【10年固定 】3.199%

●住信SBI/SBI新生系銀行:

【変動金利】0.680%
【10年固定 】1.450%
【全期間固定】約1.9%~

●ソニー銀行:

【変動金利】2.3%台
【10年固定 】1.450%
【全期間固定】約1.9%~

●イオン銀行:

【変動金利】2.87%
【10年固定】4.22%

●フラット35金利:

1.89%~1.92%

【2】大手メガバンクとネット銀行の違い

住宅ローンを選ぶ際には、「金利の低さ」だけでなく、安心感・サポート・審査条件といった要素も重要です。

■大手メガバンクの特徴

・金利はやや高めだが、全国店舗の相談体制や信頼性が高い。
・長年の実績があり、対面で相談できる安心感がある。
・審査基準はやや厳しく、安定収入や勤続年数が重視される傾向。

■ネット銀行の特徴

・金利が低く、手数料も抑えられる実利的なメリットが大きい。
・審査・契約はスピーディーだが、サポートがオンライン中心で対面相談がない。
・保証やトラブル対応の面では不安を感じる人もいる。

金利の低さだけを追うと、将来の対応やサポート面で後悔するケースもあります。
そのため、自身のライフプランや返済計画に合った「バランスの取れた選択」が求められます。

【3】今後の金利動向:上昇は「緩やかに」続く見通し

自民党の新総裁・高市氏の就任以降、金融政策の方向性に注目が集まっています。
YAHOOニュース(2025年10月掲載)によれば、住宅ローン金利は今後も上昇傾向が続く見通しです。

背景には、日銀が長年続けてきた超低金利政策を段階的に修正し、長期金利が上昇していることがあります。
この長期金利の上昇は特に固定金利型住宅ローンに直接影響しており、大手銀行では固定型の引き上げが確認されています。

一方、変動金利は当面据え置きの見通しですが、日銀が来年以降も政策金利を引き上げる場合、徐々に影響が出る可能性があります。

つまり、「短期的な急上昇はないが、緩やかな上昇が続く」というのが現時点での主流の見方です。

【4】金利上昇にどう備えるか:5つの実践ポイント

住宅ローン金利の上昇に備えるには、家計の余裕と柔軟性を確保することが何より重要です。

●返済余力を確保する:
 金利が1?2%上がっても返済が続けられるよう、家計に余裕を持たせる。

●一部固定・期間固定の活用:
変動と固定を組み合わせ、リスク分散を図る。

●借り換えを定期的に検討:
 金利や手数料を比較し、有利な条件があれば早めに行動する。

●繰り上げ返済を計画的に:
 余裕資金で元金を減らし、総返済額を軽減。

●長期のライフプランを意識:
 教育費・老後資金を含めた家計全体で無理のない返済計画を立てる。

【5】まとめ:低金利時代の「終わり方」を見極める

これまでの“超低金利時代”は、確実に終わりの局面を迎えつつあります。
しかし、焦って金利タイプを変更したり、借り換えに飛びつく必要はありません。

今、大切なのは、「金利の動きに一喜一憂せず、家計全体でリスクをコントロールする力」を持つことです。
「安心を買う固定金利か、柔軟に動ける変動金利か」
どちらを選ぶにしても、自分と家族の生活リズムに合った返済設計が、最も賢い“備え”と言えるのではないでしょうか。

参考: