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2024.11.22

エコフレンドリー住宅とは?地球と暮らしに優しい住まいの秘密

エコフレンドリー住宅とは?
地球と暮らしに優しい住まいの秘密

 

「エコフレンドリー住宅」と聞いて、どのような家を思い浮かべますか?
環境問題への関心が高まる中、住宅にも地球に優しい取り組みが求められるようになりました。
エネルギー効率が高く、自然の恵みを活用しながら快適な生活を実現する住宅とは、一体どのようなものなのでしょうか?

今回は、「エコフレンドリー住宅」の具体的な取り組みとして、最新の技術や設計アイデアを解説します。
また、ドイツ発の「パッシブハウス」やアメリカ発の「アースシップ」といった、海外のユニークな事例もご紹介しています。
この記事を読むことで、エコ住宅がどのように環境負荷を減らしながら快適性を向上させるのか、その仕組みと魅力が分かります。
持続可能な暮らしに興味のある方、住宅の購入やリノベーションを考えている方に必見の内容です。

(1)エコフレンドリー住宅の具体的な取り組み

近年、住宅やインテリア業界では、エコフレンドリーな取り組みが重要なトレンドとなっています。
エコフレンドリーな住宅とは、環境への負荷を最小限に抑えながら、居住者の快適性と健康を追求する持続可能な住まいづくりを指します。
エコフレンドリーな住宅のコンセプトは、「環境負荷の低減」、「エネルギー効率の向上」、「快適な生活空間」の3つを中心に展開しています。
以下にエコフレンドリーな家づくりの具体的な取り組みを説明します。

1. 高気密・高断熱な家づくり

高気密・高断熱設計は、エコフレンドリー住宅の基礎となる内容です。高気密により余計な隙間を減らし、高断熱によって外部の気温から家を守ります。
高気密・高断熱な家は、室内の温度を効率的に維持し(空調に無駄がない)、エネルギー消費を大幅に削減します。

2. 再生可能エネルギーの活用

太陽光パネルや風力発電など、再生可能エネルギーを利用することで家庭内でのエネルギー自給自足を目指します。
これにより、化石燃料への依存を減らし、持続可能なエネルギー利用が実現します。
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)では、太陽光発電と高効率設備の組み合わせにより、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロにするも可能とされています。

3. ウォーターエフィシエントな設備

ウォーターエフィシエントとは、日本語で「水効率」と訳され、水の使い方を効率化し、水の無駄遣いを減らすことを意味します。
具体的には、雨水や排水を家庭内で再利用し、水道水の消費量を抑えることで、水道料金の削減と水資源の節約が可能となります。

4. 緑豊かな屋外空間の設計

日本の「屋上緑化」や「壁面緑化」は、都市部の建物で特に注目されています。
屋上や外壁に植物を植えることで、夏場の温度上昇を防ぐとともに、ヒートアイランド現象の軽減に貢献します。
また、緑があることで住環境が快適になり、空気の浄化効果も期待されます。

5. スマートホームテクノロジー

IoT技術を活用したスマートホームシステムにより、エネルギー使用の最適化と居住者の利便性向上を図ることができます。
PanasonicのHEMSなどのシステムを活用することで、電力使用量を管理し、無駄な電力を削減しつつ、快適な生活環境を実現します。

6. 環境に優しい材料の選択

エコフレンドリーな家づくりにおいて、環境に優しい材料の選択は非常に重要な要素です。
環境に優しい材料とは、再生可能な材料(FSC認証木材)、リサイクル可能な建材や天然素材、低VOC(揮発性有機化合物)塗料などがあります。
これらの素材は従来の建材に比べて、環境負荷が少なく、健康にも配慮された材料を選ぶことで、より持続可能な住まいを実現することができます。

7. 周辺環境を考慮した設計

地域の気候や文化に適した設計は、自然条件を最大限に活用することで、エネルギー効率の向上と地域コミュニティとの調和を実現します。
例えば、熱帯地方では、高い天井や大きな窓を設けて空気の流れを良くする工夫が一般的です。
また、地元の職人や資材を活用することで、地域経済を支援するとともに、建設プロジェクトの環境負荷を最小限に抑えることが可能です。このような設計手法は、自然との共生を図りながら効率的で持続可能な住まいづくりを目指すうえで、重要な役割を果たします。

 

(2)世界に学ぶエコフレンドリー住宅:ドイツ発のパッシブハウスとアメリカ発のアースシップ

海外には、地域の自然環境や文化に調和しながら、持続可能性を重視したエコフレンドリーな一戸建て住宅の事例が数多く存在します。
ここでは特に、ドイツの「バッシブハウス」とアメリカの「アースシップ」について、その内容を見ていきましょう。

1. ドイツの「パッシブハウス」

パッシブハウス(Passive House)は、ドイツのパッシブハウス研究所が定めた性能認定基準を満たす、省エネルギー住宅です。
この概念は、ドイツのダルムシュタットで発祥しました。
「パッシブ」という名称は、建物そのものの性能を高めることで、高性能の熱交換器を用いた空調設備のみで快適な室温を維持できる点に由来します。つまり、従来のような積極的な冷暖房器具が不要であることから「受動的」(Passive)の名が付けられています。

1-1 パッシブハウスの特徴

パッシブハウスは、高い断熱性と気密性を備え、太陽光や風、地熱などの自然エネルギーを最大限に活用する設計が特徴です。これにより、冷暖房設備に頼らず快適な住環境を実現すると同時に、大幅なエネルギー削減を可能にします。

1-2 認証基準

パッシブハウスとして認められるには、以下の厳しい基準をクリアする必要があります:
・年間暖房負荷:15kWh/㎡以下
・気密性能:50Paの加圧時に漏気回数が0.6回以下
・一次エネルギー消費量:電気を含む消費量が120kWh/㎡以下
これらの基準に加えて、一般社団法人パッシブハウス・ジャパンの省エネ建築診断士による設計監理も必要です。

1-3 必要な技術

パッシブハウスの建築には以下の技術が採用されます。
・三重ガラス窓:高い断熱性能を実現
・熱交換換気システム:エネルギー損失を最小限に抑えた換気
・高断熱材:外気温の影響を遮断

ドイツで生まれたパッシブハウスは、冷暖房設備に依存しない快適性と限りなく高い省エネルギー性能を行う両立住宅モデルとして、世界中で注目されています。
日本でもこの概念や技術を取り入れた住宅が増えており、フレンドリーなエコリーな住宅の選択肢としてを広げています。

パッシブハウスの図

パッシブデザインを採用した住宅のイメージ(左:夏期 右:冬期)

参考:https://kokorohome.co.jp/column/column-9723


2. アメリカの「アースシップ」

アースシップは、1970年代にアメリカの建築家マイケル・レイノルズによって考案された、画期的な住宅スタイルです。
「地球船」という意味を持つその名前は、地球の資源で自給自足できる住宅システムであることを表現しています。


2-1 アースシップの特徴

この住宅の最大の特徴は、廃やタイヤ空き缶、ガラス瓶などの廃材を建材として積極的に再利用する点です。
厚い土壁による高い断熱性能と南向きの大きな窓によるパッシブソーラー設計を採用しており、雨水の収集・浄化システムや太陽光発電も備えています。
さらに、室内での食品栽培も可能な設計となっています。

また、タイヤと土を組み合わせた壁構造が優れた断熱材として機能し、年間を通じて室内温度を快適に保っています。

2-2 アースシップの特徴的システム

アースシップの電気、水、食料など自給自足システムと循環型排水システムは以下のようになっています。
・電力:太陽光パネルや風力発電で自給
・水:雨水を収集・濾過して使用
・食料:室内に菜園スペースを設置
・排水:生活排水は室内の菜園を通過し、植物によって浄化される

現在、アースシップはアメリカのニューメキシコ州を中心に発展し、世界各地でアースシップコミュニティが形成されています。災害復興住宅としても注目され、教育施設としても活用されている事例があります。
日本では、2019年8月、アジア初となるアースシップが徳島県美馬市に完成しました。
この住宅は、2020年春からゲストハウスとしてオープンし、見学ツアーも受け付けています。
下の写真は、「Earthship MIMA:https://www.earthshipmima.com/」より、使用しました。

アースシップ

まとめ

エコフレンドリー住宅は、環境に優しく、快適に暮らせる家です。 断熱性能を高めたり、太陽光などの自然エネルギーを使ったりすることで、環境への負担を考えます。
海外にも参考になる事例がたくさんあり、これからの時代に適した住まい方として注目されています。
住宅の購入やリノベーションを検討する際には、こうしたエコフレンドリーな要素を取り入れることで、より豊かな暮らしを実現できるでしょう。

 

参考: